第37話 今回の顛末
「……なるほど。原因はドラゴンゾンビですか。まさかまさかですねー。あれは深層のモンスターですよね?たしか」
「ですね。国からの情報だと深層が主な出現域ですね。そもそもドラゴンも深層のモンスターですし。日本での目撃情報も深層ばかりです」
そりゃそうだ。
なんてったってドラゴンですから。
ドラゴンゾンビはその名の通りに死んだドラゴンが腐敗しながら甦ったモンスター。
どうやって生まれるのかはまだ不明だが、ドラゴンの亡骸に亡霊系モンスターが憑依している説が一番有名だ。
なので通常のドラゴンよりは耐久は弱い。
けど深層序盤に出てくる強モンスターの扱いになっている。
そもそも肉体が腐敗しているから物理ダメージが効きにくいんだよねー。
戦いたくはないねー。
「派遣してたチームももしや、と考えて深層用の装備で向かってたから助かりました。いやはや、流石プロ集団ですね。一応この後、記者会見でもこの内容で話そうと思っています。」
「被害が最小限ならよかったです。これで白川ダンジョンに入れるようになりますね」
「あー、その事なんですがね……少し困ったことになりまして……」
含みを持たせて長嶺さんが俺を見る。
「田島さんに知恵をお借りしたいことがあります。……正直に申しまして、発表できない事案が発生したのです」
発表できない事案?
……雲行きが怪しくなったな。
なんかフラグ立った気がするー。
「……自分の知識が役に立つのかわかりませんが聞くだけ聞きましょう」
「聞くだけですか……是非とも対応していただきたいところですが」
そこはそこ、俺にも生活があるので。
後Eランクです!(キリッ)
……くっ、スルーされた。
「……今回討伐されたドラゴンゾンビ。出現時、片翼の状態だったとのこと。つまり手負いで深層から上がってたと思われる、との報告でした」
「へ?ドラゴンゾンビを手負い?つまり、ドラゴンゾンビを襲った何かがいると?」
「話が早くて助かります。ドラゴンゾンビは深層でも上部に生息しているというのは通説ですが、その生息域では捕食頂点とされているはずです。それを傷つけることが出来るモンスターがいるとなると……ギルドとしては不安要素なんですよ」
ダンジョンの下層と深層は危険度が段違いに違う。
そもそも深層に行ける探索者は熊本にはほとんどいない。
俺が知っている限り、数人いたか怪しいレベル。
万が一ドラゴンゾンビを襲ったモンスターが地上を目指す可能性もゼロではない……
「田島さんには深層の探索、あわよくばドラゴンゾンビを倒したモンスターを調査、討伐していただきたい」




