第355話 後輩たちと準備
「先輩、炭入れたので火よろしくです」
「おっけー……ほい、あとはよろしくね三原くん」
「了解です!しっかり温めておきますね!」
「やりすぎて炭、燃やし尽くさないようにねー」
時間は11時、昼からバーベキューを始めるならそろそろ火入れの時間。
三原くんは若手の中で一番の元気印。
趣味がソロキャンプなだけあってバーベキューの火起こしとか安心して任せられるよ。
ちなみに最近お気に入りのスパイス、ほりこしを勧めてきたのも彼。
まじ様々ですよ!
配信でよく使ってるからこの前ほりこしの会社からガッツリ箱で送られてきたよ。
これで当分通販しなくて済んだよー。
「こっちは先に着けておきました。火起こしは尾道くんとやっておきますね」
「お、世羅さんありがとう!助かるよー」
世羅さんは炎魔法が得意。
学生時代からダンジョンを巡りながら旅行するのが趣味だったそう。
何なら地上でも火起こしできるぐらいに魔法を使えてるからだいぶすごいと思うよ。
普通の人はロウソクに火を灯すだけで一苦労らしいからねー。
「世羅さんー、風送るよー」
「尾道さん、よろしくです」
「無理はしないようにねー。尾道くん、今回はやりすぎて倒れないように!」
「……うっす!」
その沈黙はなんだい?
尾道くんは何事にも一生懸命。
一生懸命すぎて倒れることもしばしば。
新人の頃、仕事を覚えるために昼飯食べずに参考書読んでて倒れて救急車呼ばれたんだっけ……
一生懸命やるのも大事だけど、仕事を続けていくには適度に息抜きをしないとね。
緩急は大事だよ緩急。
とりあえず2つのバーベキューコンロは大丈夫そうだ。
俺は土魔法でササッとコンロを作って網を置く。
魔法でコンロを作ると排煙機能が悪くて熱効率が悪いんだよねー。
やっぱバーベキューコンロ、偉大だわー。
とりあえずバンバン火をつけていきますかねー。
「ほい、ファイアーボールっと……うん、よさげよさげ」
「……ほんと、田島先輩って凄いですね」
「……普通無詠唱で魔法打たんですよ」
「というより、コンロを土魔法で作るのは分かりますけど、得意な属性以外は地上で使えないはずでは?しれっとファイアーボール使ってるし」
……まぁ、そこはSSSランクってことで。
社長とかには内緒だよ!
「あらたー、火ついた?」
「おーゆり、ぼちぼちだよー」
「おっけおっけー。あら世羅さんのところ、火が弱いね。ファイアーボール」
ボッ
「よしよし!じゃちょっとコンビニで氷買ってくるからー。子どもたちよろしく」
「おっけー。いってらー」
「……先輩の奥さん、サラッと無詠唱で魔法唱えれるんですね」
「……しかも私より火力出てる」
「……俺、風送る必要なかったのでは?」
「……まぁ、俺の妻ってことでここはひとつ」
後で肉マシマシで渡すから……




