第324話 回遊モンスター
海中ダンジョン特有の現象、『回遊』
モンスターが階層を跨いで泳ぐことを総称して呼ばれている。
魚も回遊魚ってのがいるからそれに近いかな。
天草ダンジョンの回遊モンスターは村正秋刀魚、バーニングカツオの2種が有名。
村正秋刀魚は秋に美味しい秋刀魚のモンスター。
大きさは1メートル程だけど、背中にナイフのようなヒレを持っていてモンスターを切り刻んで食べている肉食の魚。
この時期はまだ餌を蓄え始めているところだから小ぶりなんだよね。
バーニングカツオは真っ赤なカツオ。
燃えるような見た目からバーニングと名がついた。
実際、脂の量がすごくて鰹のたたきとかにすると大炎上する。
その代わり炙りにしてもしっとり柔らか。
バーニングカツオのたたき丼とか高知あたりで有名になってたよなー。
ヘビータンクロブスターを回収しながら待っていると不意に水の流れが変わった。
これが、回遊モンスターの来る合図。
本日の回遊モンスターはバーニングカツオ。
しかも先頭は5メートルは超えてる大物が数匹!
:バーニングカツオや!
:マジで真っ赤だな
:初めて見たけど、はっや!
:これで砲弾マグロの半分ぐらいの速度だって……やっぱモンスターってバケモン〈1000円〉
:おっさん、がんばれー〈500円〉
「来たぞ、保部!準備はいいか!」
「おっけー。久々に使うから不安だけど……『ボルトネット』!そぉーれぇー」
保部の手から黄色い網が飛び出してバーニングカツオの前に広がる。
急な進路封鎖なのでカツオたちはそのまま網に突っ込んでいく。
網目は3メートル四方のため小さいヤツはそのまま突き抜けるけど、大きいやつが軒並み捕まえられた。
「ふぃー。ボルトネット、久々に使ったよぉ。これこんなに魔力使うっけ?」
「魔法は日頃使ってないと使用する魔力が増えるらしいぞ。前ネットで見た」
「マジかぁー。俺も定期的にダンジョン入った方がいいなぁー」
ボルトネットは電気の網を出す妨害魔法。
保部は戦闘面が苦手なので補助魔法をメインに使ってたからこういう仕事にはもってこいだ。
捕まえたバーニングカツオをストーンランスで1匹ずつ〆ていくと合計で14匹もいた。
総重量何キロですかね……
これ、保部に渡したとしても数ヶ月カツオ料理だけにならない?
若干不安になるよ!
:水中でボルトネット?!
:水の中で電気はダメだろ?!
:電気の網とか水の中じゃご法度だろ?!
:おっさんたちの髪逆だっとるwww感電しとるやないかいwww〈5000円〉
:何事も無かったように血抜きすなwww
:どいつもこいつも規格外やんけ!




