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第310話 天草帝のスパイス焼き

「はい。焼き上がりましたよ」

「ありがとうございます。すごい香りですね。ナウロでも香辛料を使った料理がありますけど比じゃない!」

「でしょでしょ?これで1口食べるとさらに変わりますよ」


王女が1口頬張る。

カッと目が開くとそのままかぶりつく。

いいねーその表情!

美味しいとコメントしなくなるからねー。


:王女様、無心で食べてる!

:ほりこしの美味さもあるけどモンスターも美味いんだろうなー

:手羽先ってことは鳥か?コカトリス?〈1000円〉

:王女よりでかくて笑うwwwそれ解体して焼いてるおっさんやばwww〈3000円〉

:いや、おっさんならフェニックスも有り得る

:サンダーバードとかじゃない?

:伝説のケツァルコアトルとかw


「あ。肉の説明忘れてた。今日はアマクサエンペラーコカトリス、通称天草帝を食べてますー。珍しく熊本城で出てきたから倒して捌いてます。そもそも天草帝が地鶏の中でも最高峰の美味さだからねー」


フェニックスなんて倒した瞬間から肉焼けちゃうから焦げやすいんだよねー。

あとケツァルコアトルは神だから!

しかも知り合いだしね!

俺もいい感じに焼けた手羽先1口。

うん、旨い!

プリっとした肉が程よい弾力で噛み締める事に上質な旨みが出てくる。

脂はそこまで多くは無いけど、鳥にしてはあるのでボソボソとした感じでもない。

そこにほりこしのスパイスがしっかりと味を引きしめている。

これはビールが飲みたくなるやつですねー。

俺ビール飲めないけど。


:死ぬほど美味そう

:この時間の飯テロ……罪……

:まだ昼なのに酒飲みたいwww

:天草帝って熊本限定モンスターだよなー。いいなー熊本〈5000円〉

:飯うまいところが1番。天草帝は福岡でも食べれる〈1000円〉

:関東圏に店できてくれ!〈50000円〉


もぐもぐ味わって食べていると脇腹をつつかれた。

サヒーリ王女、もう手羽先を食べ終わったようだね。


「あ、あの……次の手羽先を焼いてもいいですか?……1本じゃ足りなくて……」

「いいですよー。自分も足りてないので。あ、もも肉もありますので一緒に焼きましょうか」


手羽先、砕いているから1本と数えるかは怪しいところだけどね!

もも肉は強靭な足を支えているだけあってものすごい弾力。

最初包丁が入らなかったもんね。

こういうのは肉の繊維にそって歯を入れないといけないから中々一人分に切り分けるの大変だったよ……


皮目から焼いていくとパリパリと音を立てていく。

いいねー、この音!食欲が増してくるよ!




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