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第291話 飲んだくれ、仕事する

「ほー。珍しい種族とな。神の子どもでも来たのかの?」

「神の子なら風邪ひかないでしょ。確か東から研修も兼ねてきてるって言ってたなー。確かキュウキとケイテン?って言ったっけ?」


ブフォ!


「ちょっと!何吐き出してるの!」

「親方!タオルタオル!」

「お前、酒吹き出すなよ!汚い!」


思いっきり酒飛んできたんだけど!

ティム君からタオルを受け取って拭く。


「ゴホッゴホッ……あー、久しぶりに驚いた。酒が少なくなってしまったわい」

「そこまで驚くことかね?何?知り合い?」

「そこは分からんが、ロクよ、キュウキは翼が生えた虎、ケイテンは首が無く胸に顔がある巨人じゃろ?」

「お、正解!やっぱ知り合い?」

「違うわ。同じ中国に住む亜人じゃ。知り合いはおらんはずじゃが、わしの子どもが色々交流してた気がするがな……」


キュウキ―窮奇―は四凶とも呼ばれる中国でも指折りの亜人の一族。

ヒトにも害を与える事があるので余り関わりたくない部族らしい。


ケイテン―刑天―は首をもがれても顔を体に移して戦ったとの伝説を持つ巨人。

基本は温厚な種族だそう。

……初代が何故そこまで戦ったのかは謎らしい。

普通首もがれたら死ぬからね。

どんだけキレてたんだろうね。


「あいつらなら無駄に身体が強い半面、薬も効きにくいからな。仕方ない、素材は少ないが承知した。ティム、調合を始めるぞ。薬草庫から死鈴草、硫黄梨、全力にんじんを5本ずつ、素材庫からノクターンライオンの肝、ナインヘッドタートルの血、レッドワイバーンの鱗と骨髄を集めてこい。わしは竜胆石と明光塩を砕いて混ぜておく。急ぎ持ってこい!」

「了解です!ガラス瓶もまとめて持ってきます!」

「ついでに蒸留水もな!ピュワホワイトウォーターをありったけ使うぞ」


一気に仕事モードになったな。

日頃ダラダラしてる人が仕事になるとキリッとするの、なんかええよねー。

The職人的な感じでかっこいいわー。


俺はここにいたら邪魔になりそうなので退散することに。


「ロク、また今度なー」

「じゃあねー。とりあえず薬貰って新人に渡したら長期休みにはいる予定だし、日本に遊びに来るよ。そんときは飯の用意とかよろしくー」

「は?聞いてないが?そもそも飯って焼くだけじゃないか」

「あの粉がいいんよ粉が!日頃食べれないからねー」

「……普通にスーパー行けばええやん。ヨーロッパは日本よりキャンパー多いらしいし、スパイスぐらいあるだろ?」

「いや、日本人の食文化への執着は異常だから。あっちじゃ塩つけて食べるしかないのよ」


はいはい、わかりましたよー……

とりあえず今日は帰ろう。


いやー久しぶりに配信無しで深層潜ったわー。




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