第265話 王女、休憩
「さて、セーフゾーンについたからちょっと休憩しますか。一旦配信を切って30分後ぐらいに再度枠取りますー」
「あら?休憩ですか?まだまだいけますよ!」
「まぁまぁ、日本で初めてのダンジョンなんですからしっかり整えてから行きましょう」
何事もゆっくりが大事ですよ、ゆっくりが。
この後予定がある訳でもないしね。
:休憩了解
:ちょうど水分取りに行きたかった
:トイレ行ってこ
:俺もトイレッと
:コンビニで飯買ってくるかー
:枠待ち待機
セーフゾーンについて焚き火を起こしてサヒーリ王女に座ってもらう。
「初めての日本のダンジョン、どうでした?」
「楽しいですね!ナウロとは全く違うモンスターが出てきて、しかも強い!今まで鍛えてきた事が通用する実感、最高です!」
「な、なるほど……」
サヒーリ王女、もしかして脳筋ですか……?
体術使ってソロでモンスターと戦ってたから薄々感じてはいたけど、精霊魔法とかをメインに遠距離型だと思ってたよ。
「中々お強いですねー。護衛いらないんじゃないですか?」
「いえいえ、まだまだですよ。1人はリスクが高いので」
「もしや精霊を呼び出す時に魔力を相当使うからですか?」
「……お気づきでしたか」
「なんとなくは。精霊が敵から魔力を吸い取ってエネルギーに変えているとはいえ、そもそも具現化するのに魔力が必要ですからね」
ただでさえ無から有を作り出すのに相当数の魔力を使うからね。
例として俺の造兵局があるけど、あれのコスパ死ぬほど悪いからね。
魔力量にはちょっと自信がある俺が1回使うとエーテルなしじゃキツイんだもん。
サヒーリ王女の精霊はそもそも巨体だし、特殊能力も持っているから最初の魔力消費も著しいはずだ。
「ウゴウゴ……」
「イミウル、心配しないで?タジマ様、精霊魔法についてはどこまでご存知ですか?」
「具体的にはあんまり。実際に使われているところを見るのは今回が初めてです」
「なるほど。精霊魔法はそもそも精霊と契約し自分の魔力を元に召喚、使役する魔法です」
サヒーリ王女から聞かされたのはナウロ王国の秘術について。
ナウロ王国はダンジョンが出来る前から精霊が当たり前のように存在し、子どもの頃から精霊を目にしているそうだ。
精霊魔法って結構有名だけど中々使える人がいない魔法のひとつだから子どもの頃から使えるなんて中々にすごいニュースだ。
配信してなくて良かったー。




