第260話 善処します……
「……配信しても売れなくないですか?そもそもダンジョン内でこんな重いの持って戦えませんよ」
「だろう?俺もそこは突っ込んださ。連続稼働よりも軽量化、小型化が望ましいって。けど東京メンバーが言う事聞かなくてね……営業もこれで売り込みをかけたいから早めに配信で紹介しろってさ」
「理不尽ー!予定が詰まってるって分かるでしょー……」
「東京本社だからなー」
副社長が渋い顔をする。
東京と熊本は微妙に仲が悪い。
バリバリやれる先輩を引っこ抜いて散々こき使って鬱になったら熊本に投げ返して売上が落ちたと難癖つけたりしたんだっけ?
一応社員間の交流とかは積極的にやってたりするし俺も知り合いがいるのでただ単に運営方針がズレているってことなんだと思うけどね。
「とりあえず機材は渡しておくよ。ここにあってもうるさく言われるだけだから。配信も予定が決まっているならそっちが優先で」
「……善処します。後に回すと面倒くさそうなので、早めにスケジュールは組んでみます」
「……本当にすまん。恩に着るよ」
「いえいえ、今度飯おごってください。焼き鳥とか食べたいですねー」
「仕方ないなー。今度奢るよ」
やったね!流石副社長!
副社長、飯屋は詳しいから熊本の安くて美味しい店教えてくれるんだよね。
前教えてもらった上通の奥にあるハンバーグ屋、まじで美味しかったんだよねー。
注文されてから成型して焼くスタイルだから提供までにすごく時間がかかるけど、肉汁をしっかり閉じ込めてナイフを入れた瞬間弾けるのでマジで感動した。
また食べに行きたいなー。
「あ、そうそう。もうひとつ話があるんでしたっけ?」
「あー。そっちはあれだよ。社員旅行。10月末予定だったっけ?ゴメン、やっぱ参加出来ないわ。仕事が忙しくて」
うちの会社は毎年秋に社員旅行に行く。
今年は芦北で、BBQしながら海沿いのキャンプ場でのんびりする予定だった。
副社長、仕事忙しいからね。
「不参加ってことですね。承知しました」
「ちなみに今何人参加になってる?」
「今ですか?家族で来られる方が5組で、合計社員26名、社員外が4名、子ども8名ってとこですね。返信がまだなのが9名いらっしゃるのでもしかしたらまだ増えるかもですが」
「なるほど、了解。みんなが楽しめるように頑張ってね。参加できないお詫びに差し入れで缶ビール、ケースで渡すから」
「まじっすか!ありがとうございます!」
正直コテージ代より酒代の方が心配だったんだよねー。
ダンジョン産の酒出すにしても色々手続き面倒だったし良かった良かった。
そんな風に話をして今日は帰宅。
案件配信については花畑さんに相談してからだね。
この小説はフィクションです。実在の人物、団体などとは関係ありません。




