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第259話 副社長との話

この小説はフィクションです。実在の人物、団体などとは関係ありません。


「今日連絡したのは2つ、1つは社員旅行の件。もうひとつは本社から連絡があった件。どっちから話そうか」

「面倒くさそうなので本社からで」

「……君も隠さないなー。そういうところは先輩見習わなくていいからね?。本社からの連絡は案件依頼をしてるから対応してくれ、ってことらしいよ。多分田島くんの配信のことだよね?」


予想通りでした。

東京本社から案件早めにやってくれ、って催促のメールがここ数日石凪副社長に飛んできてるそう。

……そんなに連絡しても案件って順番があるから早く対応は出来んですよ。

俺はサボってるだけなんですけどね!

食べ物以外やる気が起きなくて……


「案件って結構溜まってるから先に進まなくてですねー。せっつかれても早く対応は出来んすよ?」

「まー、そうだよね。俺もそうだと思って『無理だ』って返信してたんだけどね……」


そう言って裏からダンボール箱を持ってきた。

開けるように促されて開けてみると中に機械が。


「……これ、案件の機材ですか?」

「……機材一式送るからさっさとやらせろって。何を考えてるんだか……これバレたら株価どうなるか分かってんのかね?……」


んな無茶な……

機材がないから断ってるわけじゃないのに。

子会社社員だからって理不尽押し付けてくるなー。


だから東京本社キライ!


とりあえず箱の中身を出してみる。

見た目はタブレット。

それにしては大きすぎる。

縦横50cmはあるし、厚さも5cmぐらい。

持ってみると思ってたよりは軽いけどそれでも1キロあるかないかかな?

マジでなにこれ?


「なんですかこれ?IHコンロ?大きすぎるし重すぎますよ?」

「これはうちの新型ダンジョン用通信機『ダントーク』。他社のドローン型カメラよりはレンズ性能が落ちるけど、どんなダンジョンでもしっかり通信できる。あと目玉はコレだよ」


そう言ってタブレットの横のボタンを押す。

するとタブレットが変形し、上部が〒の形のアンテナになった。


「『魔力増幅変換器』、ダンジョン内に存在している魔力を増幅し電力に変える。今までの変換器であれば良くて4時間の連続稼働だったのが20時間を超えることに成功したんだ。多分深層レベルの魔力の濃さならほぼ無限に使用出来るって」

「はー……無限に配信できるカメラってとこですか……上からの俯瞰で撮れないのは視聴者にはマイナスですね」

「……それを言ったらおしまいだよ。これは元々自衛隊などの公共探索時の記録用に開発されたんだから。とりあえずこれを深層で使ってみたっていう配信を希望してる」


うげぇ……めんどー……

配信するにしても1キロ超えたものを手に抱えて使うって無理でしょ。

俺とかは『巨人の拳』があるから1キロなんて余裕だけど片手がふさがるのはダンジョン内じゃ致命的だよ。

これを売るなんて無理があるよ……




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