第249話 チャーシュー麺
「それじゃいただきますかねー」
まずはチャーシューから。
箸でつまもうとするとスッと肉を通り過ぎ2つに切れた。
これが大元帥名物のチャーシューだ。
皮付き豚バラ(オークバラ?)を一日かけて丁寧に下茹し、その後12時間特製タレにつけて煮込む。
その結果箸で掴むのも大変なくらいにトロットロのチャーシューになるそうだ。
このチャーシューだけでご飯食べれるんだよねー。
ここ、白米じゃなくておにぎりなのが勿体ない。
「おぉ、この肉すごいですな。しっかりと味付けされているのにくどくない。あっさりとしたスープに良く合います」
「でしょー?麺と一緒に食べるとまたいい感じになりますよ」
「な、なるほど。では……む!これは!トロトロの脂身が麺に絡んでさらに味わい深い!それにこの麺、少し硬いですが脂身によく絡むよう少し角張っているんですな!」
「お、そこ分かりますか。うちの麺は毎日ここで作ってるんですけどほかのラーメン屋と違って少し角が分かるようにしてるんですわ。その方が豚骨とも絡みますからね」
南田さんがこっちを見て笑う。
ドムリさん、初めてのとんこつラーメンって言ってたけどお気に召したようでよかった。
谷尾崎さんと福崎さんもラーメンをすすってる。
「うーん、これこれ。このチャーシュー!コラーゲンたっぷりなのが舌で感じられるんだよね!」
「ニンニクに負けないチャーシュー!仕事終わりの体にしみ渡る!家に帰って酒飲みたい!」
「……いおり、おにぎり食べてまだ飲むの?」
「いいのいいの!明日休みだから!」
おにぎりを口に含んでもぐもぐ食べてる福崎さん。
大元帥のおにぎり、一つ一つが拳サイズで大きいんだよね。
俺でもチャーシュー麺大盛の時は頼まないぐらいにお腹に溜まるんだよ。
けどうっすら塩味のおにぎりがまたチャーシューと合うんだよ……
「ほい、田島さん。おにぎり」
「え?南田さん?頼んでないですよ?」
「いやー、食べたそうにしてたしね。しっかり食べて貰えるなら奢りだよ」
なんと!ありがとうございます!
おにぎりと一緒にチャーシューをガブり。
うーん!これこれ!
やっぱ大元帥が1番のラーメン屋だよ!
「そろそろ店閉めるからねー。炊飯器空にしたかったから良かった良かった」
「……南田さん、絶対そっちが本音ですよね?」
「あ、バレた?もう一個食べる?」
……いただきます。




