第246話 意外、ラーメン女子
「いやー、今日も大変だったー。あいつら本当に受付前でうるさいよねー。奥にいる私たちにも聞こえてきたけど」
「あのパーティー、うるさい割には素材集めてこないんですよねー。実力も言うほどって感じ。あ、熊本ラーメン2つー、揚げニンニクとネギ増しでー」
「はいよー、食券機で買ってくださいー」
「「はーい」」
ガラガラっと入口が開いて、女性二人が入ってきた。
夜だから仕事帰りの人が多く来るんだよね。
昔からあるし、何よりチャーシューが美味しい。
けど女性だけでここにとんこつラーメン食べに来るって中々見ないなー。
ここで食べてる時は飲み屋のねーさんがおっさんつけて入って来てたり、家族連ればかりだったし。
美味しいは世代を超えるからね。
「あー、おにぎりもありだなー。さなは追加する?」
「うーん、食べたいところだけど、明日から旅行に行く予定だから今回はパス。いおり、今日はしっかり食べる系?」
「もちもち。ここでトンコツ摂取してのんびりするから。休み明け仕事忙しくなるからね……あ、食券置いときまーす。席はどこでもいいですよねー?」
「はいよー、熊本ラーメン2つ、ニンニク、ネギトッピングにおにぎり。席はそちらにお願いしまーす。少々お待ちをー」
コの字のカウンターで俺とドムリさんの向かいに女性二人が座る。
「ナンパか知らないけどさー。受付で駄弁られると後ろの人捌けないから忙しい時はサクッと用件だけ伝えて欲しい。はい、お水」
「ありがとーさな。マジでそう。そういうところは田島さんを見習って欲しいわ」
「それなー。田島さんもよく喋りかけてくるけど周りをよく見て空いてる時に来るもんねー」
ん?田島?
水を飲もうとしたら俺の名前が呼ばれた気がしたので女性二人の顔をよく見る。
ブフォ!
片方の女性と俺が同時に吹き出す。
「ゴホッ……ゴホッ……な、なんで田島さんがここに!」
「ゲホッ……ゲホッ……それはこっちのセリフですよ、福崎さん!」
びっくりしすぎて気管に水入ったよ……
「ゴホッ……ここはギルドから近いから職員の行きつけなんですよ。女子でもあっさり食べれますし」
「ゲホッ……確かに、ドロっとした濃厚豚骨じゃないですからねー。揚げニンニクも頼んでるということは通い慣れてますね」
「揚げニンニク、しかもチップで出すのはここぐらいですから。ニンニクは生より揚げがラーメンの味に影響が薄い気がするので気に入ってます。粉末揚げニンニクのあかむらさきさんや天地天も捨てがたいですけどここの揚げニンニクはチップだから風味をしっかり味わえるので」
「しっかり評価してる!ラーメン食べなれてますね!」
意外、福崎さんはラーメン女子。




