第242話 秘術
そんなこんなで帰還ポータルを見つけて無事に熊本城ダンジョンから帰ってきました。
「ドムリさん、お疲れ様でした。と言っても短時間でしたけど」
「いえいえ、とても濃い時間でした。そしてタジマ様に謝らなければいけないことがあります」
ドムリさんが真剣な顔をしてこっちを見る。
「先程ワタシが隠密を使って見ていたことについては触れないと仰ってましたが、あの時アナタを試そうとしていました」
「ふぇ!?ためす??やっぱり実力が足りてない?!」
流石にそれは想定外でしたけど!?
何かサヒーリ王女に不敬働きました??
これは一大事ですよ!
「す、すみませんでした!!!どうか家族だけはお救い下さい!!!」
全身全霊の土下座ですよ。
俺の命より家族が大事だからね。
俺一人の命で不敬を許して欲しいのです!
「ちょ、ちょっとタジマ様!何を言っているんですか!?頭をあげてください!不敬なんてそんなことでは無いですよ!」
「あ、そうなんですか?本当に?王女様のご希望に添えなかったからとかではなく?」
本当に不敬じゃない?
切腹案件とかじゃないの?
「えぇ、姫様はタジマ様をいたく気に入っておられるようで。来月からダンジョンに一緒に入れることを楽しみにしておいでです」
「ほっ、よかったー……じゃなんで俺を亡きものにしようと?」
「それは……あまりにも異質の存在に見えたからです。タジマ様、アナタは自分の力はどこまで把握されていますか?」
自分の力?
スキルはほとんどユニークか亜人からの加護だってことは分かりますよ。
最近使ってないスキルが多くて忘れてる時があるけど……
筋力もそこそこ、動体視力は最近落ちたけどまだダンジョンに潜る時に不便を感じるほどじゃないし、魔力は結構上の方だと思ってますよ!
その事を話したらまた呆れられた。
「我らナウロの民からすると異常なのです。祝賀会の時、ワタシがスキルを使ったのは分かってましたよね?」
「はい、何かかけられたなーと思って弾きましたけど」
「あれはスキルではなくナウロ王国に代々伝わる秘技。ワタシが使って来た中で初めてですよ。術を防がれたことは」
え、そうなんです?
ドムリさんから聞いたら『カマラル・ンガ』という術を使ったそうな。
この術、ギルドにも秘密にしているほど極秘術だそうで、防ぎようがない術として常識だったそう。
……何かすみません。




