第230話 エンペラーリッチ
エンペラーリッチ
アンデッド系モンスターの中で最強と呼ばれる種族。
そもそもリッチと呼ばれるスケルトンを操る能力をもつスケルトンがいるんだけどその力がさらに覚醒し、アンデッド系であれば全てを操り統治できる力をもつ。
しかも独自に作られた魔法を使うため、防御魔法などが効果を発揮できず、討伐記録もほとんどないモンスターだ。
しかもアンデッドなのでほぼ不死身。
魔力があれば何度でも甦る。
まぁぶっちゃけて言うと不死身の王様ってやつです。
「……戦いたくねぇ。もう帰りてぇ」
心のそこから戦いたくない相手です、はい。
だってさー、あれ、近接で殴るとカウンターしてきて色々デバフ貰うし、何なら即死魔法撃ってくるし、周りのアンデッドも強化して襲ってくるしでスゲー面倒なんだよ。
:最強のアンデッドや!!!
:エンペラーリッチはあかん!!!〈1000円〉
:無理だ!あれは無理!
:おっさんにげろ!〈50000円〉
:いのちだいじに!〈5000円〉
:勇気の撤退や!〈2500円〉
コメントも逃げろって感じのコメントが溢れてる。
正直、相手にしたくはないんだよねー……
「よし、帰ろう。ムリムリ」
そう宣言して帰ろうと後ずさりを始めたら、リッチがこっちを向いた。
……あ、気づかれた。
「……ヒト……テキ……」
そう呟くと腕をこちらに向けた。
ジョーさんの周りにいたアンデッドたちが一斉に俺を見る。
「あ、あかんやつー!!!」
結局見つかるんかーい!
俺は腹の底から悲鳴を上げた。
「……はぁ……はぁ……キッツ……」
グールを吹き飛ばして座り込む。
かれこれ30分は戦ってるんじゃない?
もう俺の周りにアンデッド系の素材が山のように貯まってるよ……
けど全く減ってないんだよねー……
ストーンレインとかツイスターとかバンバン使ってるけどあれ、神聖魔法じゃないから倒せないんだよね。
『樹鹿王の導き』も近接だけだから、最終的に殴るか剣で切らないと意味がない。
……いやー、きついっす。
「マジなんかスキルなかったかな……やってられんぞ……あ、あるじゃん」
そうだ、あったわ。
対アンデッド、しかもリッチに向いてるスキルが。
効率悪いし、そうそう複数相手に苦戦することがなかったから忘れてた。
「よーし、新スキル使うぞ!『造兵局 神造化兵』!」




