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第229話 やばいやつ

ジョーさんがひときわ大きく身体を反らせて地面に顎を叩きつける。


ドッゴォォォ……ン


叩きつけた場所にクレーターが出来、近くにいたであろうスケルトンたちが粉砕されていた。

神聖魔法を使わずパワーだけで再生能力に打ち勝ったんか……流石ドラゴン……


「あの一撃、俺耐えれるかなー。やっぱドラゴンってすげーわ」


:……何だろう。余裕で受け止めてる姿が予想できる〈3000円〉

:スキルで同じ規模のクレーター作ってるおっさんがなに言うてんねん〈10000円〉

:ガチンコで殴り合い出来るだろ〈50000円〉

:やったれおっさんwwwww

:もうモンスターと変わらんのよ、おっさんは


……コメント、もう少し手加減してくれなーい?

おっさんでも傷つくことあるのよ……


ジョーさんがよろけて地面に倒れこむ。

モンスターを討伐する時は弱っている時に全力で、が探索者の常識なんだけど、今回は何か様子がおかしい。

特に格下のアンデッドが、ドラゴンを攻撃し、傷を負わせているなんて聞いたことがない。

何かありそうだし、もう少し観察してみるか……

そんなことを考えながらジョーさんを観察していると、広場の奥から黒い煙が吹き上がりジョーさんを包んだ。


グルゥゥァァァ……


ジョーさんの咆哮が轟き、暴れはじめたが黒い煙は消える様子がない。

煙に莫大な闇の魔力が含まれているな……

闇魔法かなにかだな……


「あの煙は魔法?しかも闇系っぽいな……そんな魔法を使えるのは……はっ!」


煙がさらに濃くなると、奥から足音が響く。

パッと見、ヒト型に見えたけど広場に出てきた姿を見て俺は息を飲んだ。


そこにいたのは漆黒のマントを羽織り、頭に王冠をのせた人間。

いや、人間とは呼べない。

なぜなら全身が骨だから。

骨は真っ赤に染まり、眼があったであろう位置には青白い炎が燃えている。


「……エンペラーリッチ……!そんな……バカな……!」


アンデッドを統べる最強格の王がそこにいた。





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