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第200話 伝説の探索者

『陰陽師のおりん』こと桜小路凛子―さくらこうじ りんこ―は日本初のSSSランクに登り詰めた伝説の探索者、ただし滅多に表に出てこない人だ。

一度取材記事が出てたけど、元々は平安時代から続く巫女の家系で、本当に陰陽道に通じてるそうで、魔法というよりはまじない系になるそうだ。

表に出ないミステリアスな雰囲気と生い立ちから憧れる人が多い。

俺も学生時代に本買ったよ。

陰陽道、覚えようとしたけどダメだったけどね。

そんな人と熊本、しかもここで繋がるなんて面白いこともあるもんだ。


「桜小路さんの深淵到達についてはギルドから非公開として処理されています。今話していることも非公開でお願いします」

「え?ギルドが?いったい何が起きたんですか?」

「それは福岡で起きた事件に関係があります」

「福岡……桜小路……あ!思い出した!あれだよ、あらた!」


ゆりが手を振って教えてくれた。

福岡で起きた事件?

『陰陽師のおりん』が活躍したってなると相当大きい事件だけど……あっ


「門司ダンジョンの氾濫ですか!」


福岡、門司のダンジョン氾濫は日本で初めて起きた氾濫でかつ、一番被害が大きかった。

門司のダンジョンから溢れたモンスターが対岸の下関まで押し寄せて、民間人を含む48人が亡くなった。

確か『陰陽師のおりん』はダンジョン内に残って超大型モンスターを1人で倒して被害の拡大を抑えたって話だった。


「そうです。あの氾濫を抑えたのが『陰陽師のおりん』です。その功績からSSSランクになった探索者、というのが表向きの話です。しかし実際は不慮の事故で桜小路さんが深淵に飛ばされてしまい、氾濫を押さえ込むことが遅れてしまった。当時の日本ギルドは国民感情を考慮し、深淵への到達を非公開、桜小路さんは超大型モンスターを討伐していた、ということにしたのです」


何てこった。

あの事件の真相、結構重い話だった。

確かに、民間人もモンスターに襲われていたのにその最中に深淵にいて、救えなかったというのは心に来るよね。

俺もそんな状況になったら辛いもん。


「ここに封じられているのはその深淵で倒しきれず、封印したモンスターらしい……ということしか分かりません。前のオーナーさんは元ギルド職員で、門司の氾濫の際は前線で活動されていたそうで、桜小路さんのことをよく気にかけていたそうなんです」

「だから、ここにあるんですね……って深淵のモンスター、地上にいるのは不味いですよね!!」

「ほんとだ!ヤバイやつじゃないですか!」


この前のピエロだってヤバイやつだったのに、日本最強クラスの探索者が封印するのがやっとのやつとか天災レベルでヤバイやつじゃないか!




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