第198話 ここ、豪邸だ!
ということで三軒目のお宅に訪問。
場所は今住んでるアパートから学校を挟んで反対側の地区。
畑の中にポツンとある一軒家。
「えーっと……これ?」
……いや、一軒家とするにはあまりにもでかすぎるお宅でした。
白い壁が家の回りを囲んでるし、門はでっかい屋根にかんぬきがついてるよ。
……ここ、俺知ってたわー。
何かヤバイ雰囲気を感じてる家だったから散歩とかでも近寄らないようにしてたんだよな。
アパートの大家さんもあそこに人が入っていくのは年に数回程度だって言ってたし。
噂だとヤの付く自由業の方だったり、地場産業大手の社長だったりと住んでる人が謎すぎるって言われてたなー。
「元の持ち主は60代の方ですね。福岡に住んでいるそうで。20年前に建てたそうですが、今回売却となったようで」
「20年ですか!中古物件にしては結構新しいんですねー」
「いろいろあって建てたそうです。ただ最近怪我をされたそうで、熊本で生活するには不安が残るそうでしぶしぶ、ということになったそうです」
前のオーナーさんは福岡でギルドと関係が深い会社を経営されているそうで、数ヵ月前に交通事故で足を切断、ポーションで足は復活できたそうだけどまだリハビリの最中だそうだ。
車の運転は厳しいし、この地区はバスでしか来れないから足が不自由な人は行動きついんだよね。
「けど、リハビリが終わったら熊本で住むことも出来ますよね?車が運転できなくてもヘルパーさんとかを雇ったりしたら生活できそうですけど」
「それがそうとも言えないそうで。とりあえず中に入りましょうか」
お宅の中は車が10台ほど入る駐車場、直径5メートルはある池がついた日本庭園、2つの蔵、そして2階建ての母屋と平屋がついた本当に大きいお宅でした。
母屋は地上2階、地下1階。
地下室を覗いてみたらワインセラーにカラオケができる防音室、映画が見れるスクリーンもついてたよ。
カラオケセットがあったからゆりがはしゃいでた。
そういえば最近カラオケ行けてないもんな。
1階は日本庭園が見える和室と20人ぐらい余裕で入る大広間があったよ……
キッチンもオール電化だし、大理石で出来てるし、棚も壁中収納だよ。
ちなみに棚の中にお皿とかも全部入ってる。
オーナーさん曰く、ワインセラーの中身以外はそのまま譲って貰えるらしい。
皿の裏側を見ると剣がクロスしてる紋章が書いてありました。
……どう見ても高いお皿です、ありがとうございます。
浴槽は大人3人が余裕で入れる大きさだった。
この規模なら温泉の家族湯ぐらいじゃないかと冷や冷やしてたけど思ってたより普通だった。
2階は小さめの部屋が3つ、洗濯物が干せる屋上。
部屋からの眺めは最高でした。
立地的に回りに大きな建物がないからしっかりと見渡せる。
朝起きたときに気持ち良さそう。
屋上はキャンプが出来そうなぐらい広々スペース。
物干し竿立てて布団とか干しても余裕があるね。
とりあえず母屋の確認はこれまで。
……これ母屋の維持費だけで年数十万ぐらいかかるんじゃないの?
次は母屋と繋がっている平屋。
平屋の方は来客用の建物らしい。
覗いたらシンプルな間取りの部屋が4つ、トイレ、風呂、応接室、キッチンがあったよ。
こども部屋とかこっちでもいいかもな。
その他は特に目ぼしいものはない。
エアコン取り付け口もちゃんとあるから住むことになったら取付工事すぐ出来そうだ。
中々良さそうな物件じゃないですか。
次に蔵を見に行こうとしたら南阿蘇さんに止められた。
この物件の重要事項を説明するんだって。




