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第153話 日本に帰ろう

「とりあえず無事そうで何よりじゃ。知り合いがいなくなるのは悲しいからのぅ」


ランファが酒をあおる。


「大丈夫だ。俺も家族がいるからな。無理はしないさ」

「だといいんじゃが。無意識に厄介事を持ってくるしな」


……自覚があるので反論できない。

年明けからは自重するから、多分。


「んじゃ、それだけなら帰るぞ」

「おぅ、元気で暮らせよ。あ、そうそう」


ランファがポンと手をたたく。


「もうすぐ日本に行くから酒用意しておけ。桜島もいいがミヤザキの酒も欲しいのう」

「は?!マジ?……ってそうかもう繁茂期か」


深層の季節、繁茂期は植物が生い茂る季節。

薬の材料になる植物や果実も実るので薬を作る亜人が集まる季節だ。

確か日本にしか生えない薬草があったとかなんとか。


「酒を用意って、ガッツリ飲む気か。調合しろよ調合。薬屋の仕事しろー?」

「そこは弟子がやるもんぞ。ティムの練習にもなるしな」

「はい!植物の植生が気になるので楽しみです!」


……黒フード、もといティム君、いい子やなー。

アル中にはもったいないよ。


「……何かバカにされた気がするな」

「ソンナコトナイヨ」

「……まぁよい。酒よろしくなー」

「とりあえず球磨焼酎とか用意しとくわ。場所はいつものところか?」

「おうよ。トミーの小屋の横に移転するぞ。お前さんもアイテム持ち帰れるようになったんなら上級ポーションでも売ってやるぞ」


……上級とかいくらすると思ってんだよ。

そもそもポーションは作り方は知られてるけどそれでも下級ポーションまでしか出回ってない。

中級以上なら探索者のスキルを使って作ることが出来るそうだけど流通までは出来てないらしい。

……購入出来るようになればギルドで荒稼ぎとかも夢じゃないな。

持ち運び面倒だし、転売みたいだからやらないけどね。



その後店からでてホテルに戻った。

立川さんとサオリンがロビーで話してたので横をこっそりとおる。

聞き耳を立ててみたけど、日本に帰ってからの記者会見とかの段取りらしい。

また記者会見ですか……

やだねー、記者会見。

ランファたちの話でもしてやろうかと思ったけど、それはそれでめんどくさそうだし、やめやめ。

トミーの紹介みたいに配信で話そうかな。

とりあえず今日は部屋でゆっくりしよう。







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