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第13話 いざダンジョン配信


『おっす、ダンジョン潜ってるんか :紅生姜』


耳にはめていたイアホンから機械音声が流れる。

フリー読み上げソフトが配信中のコメントを拾ってくれたようだ。

最初に来るのは紅生姜。

こいつ、基本暇してるもんなー。


「おっすー、紅生姜。今日こそは肉食べるからなー」

『無理はすんなよー、またイレギュラー引くかもしれんからな:紅生姜』

「フラグやめぃ!もうイレギュラーはこりごりなの!」


現在は中層3区、階層ボスの部屋まではまだ距離がある。

正直中層は鉱物系の素材が多く出ることもあり、モンスターが限られてくる。

主なやつとしてはダンジョンバット、スライム、コボルト、ゴブリンだ。

正直、敵対モンスターが多いだけで、大きさは小さい。故に食べれる部位も少ない。

流石にゴブリン、コボルトを食べようとは思わないけどね。

小さいし、骨多そうだし。


『中層だとやっぱミノタウロスじゃね?あれは赤身でも煮込めば旨いしな:紅生姜』

「それなー。けど今日はステーキな気分だからシャトーブリアンがいいんだよな」

『今北。シャトーブリアンは出ないから諦めろ。ミノタウロス絶滅させる気か?:コナモン』


お、コナモンも来たっぽい。

絶滅て……そこまで周回はしませんがな……

とりあえずのんびり襲ってくるモンスターを撃退しながら足を進めているとボス部屋にやってきた。


「ミノタウロスはいるかなー…っと」


部屋を覗いてみるとミノタウロスはいない。

おそらく先に倒されていたようだ。


「ミノタウロスがいないとなるともっと下に行かないと肉はないかなー」

『いや、ちょいマテ。何で入り口開いてるのにモンスターがいないんだ?:コナモン』

『モンスターが倒されたらリスポーンするまで入り口は閉まるはずだろ?:紅生姜』


あ、そうだ。

ダンジョンの常識のひとつが、ボス部屋の仕様だ。

ボス部屋はボスが倒されるか挑戦者が倒されるかのどちらかで扉が開かれる。

もしボスが倒された場合は復活するまでは入り口は開かない仕様になっている。

長年謎とされているが、ボスを他の探索者が倒した後にすり抜け出来ない仕様になっているのだろう、というのが探索者での常識となっていた。


つまり、今部屋の入り口が開いていてなかにボスがいないのは異常であるということだ。


「……えー……また肉食べられないのかよ……」


そうぼやいたときボス部屋のなかに黒いなにかが現れた。

……フラグ回収はやない?

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