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 あれから綾奈さんとの共同生活が始まったのだが、なんというか幸せの絶頂ともいえる生活だ。

 パンイチで彷徨けなくなったことは残念で仕方ないが、たまに起こるラッキースケベと綾奈さんの手料理という幸福には霞む。


 こんな付き合ってもいないのに新婚さんのような生活をしているのだが、問題が一つ出てきてしまった。


 ストーカー被害が終わったことを知った伊織さんからデートのお誘いがきたのだ。

 ここまではただただ喜ばしいことなのだが、問題は綾奈さんにあった。


 伊織さんとのデートのことを知るやいなや帯同を申し出てきたのだ。

 前回のストーカー被害で果たせなかった役目を……!と、燃えに燃えている綾奈さんは着いてくるといって息巻いている。


 が、それを伊織さんに伝えると二人きりがいいとのこと……なんという板挟みか。


 なんとか絞り出した妥協案は少し離れた位置からの護衛ということで落ち着いた。

 どちらも渋々といった感じだったが、正直いって伊織さんには一目ほの字だったので何としても好印象を与えたいのだ。


 もちろん綾奈さんにもほの字なのだが、ここばっかりは伊織さんを優先させてほしいっ!




 そうしてデート当日。


 しっかりと穴が空くほどの綾奈さんの視線を背に受けつつ待ち合わせ場所にやってきた。


 伊織さんは薄い紅色のジャケットを羽織っており、下はショートパンツで茶髪のウィッグにサングラスという出立ちをしているらしいのだが……いたっ!


「お待たせしました。伊織さんですよね?」


 そう言うと伊織さんはニコリと笑い、周りの女性からは嫉妬の視線をビシバシと向けられている。


「ふふふ、相変わらず一也くんは丁寧だな。今日は久々のオフでね、デートしてくれて嬉しいよ」


 大人の余裕というものを感じさせてくれる伊織さんも、出会った頃よりもメールなどのやり取りのおかげで素の対応をしてくれるようになった。


「いえいえ、こちらこそ伊織さんとデートできるなんて光栄ですよ!」


「ははっ嬉しいこと言ってくれるじゃないか! それにしても、ついに男護官を指名したんだね」


 伊織さんは、射抜く様な綾奈さんの視線に苦笑いを浮かべている。 


「この前のストーカー被害から少しだけ過保護気味で……嬉しいんですけど複雑ですね」


「それはそれは……まるで甲斐甲斐しく世話焼く母親を思う気持ちのようだな。それじゃあ行こうか。」


 すっくと立ち上がった伊織さんが左手を差し出してきた。

 顔を見るとほのかに紅く染まっている。


「手を繋ぎたいんだが……駄目かな?」


 そんなことはないと伊織さんの手を取る。

 恋人繋ぎとはいけず普通に握ったのだが、ほんのりと伝わってくる体温が素晴らしい。


「んふふ……今回は男の人とやりたい理想のデートに付き合ってもらってもいいかな?」


「もちろんいいですよ」


「それじゃ昼ご飯までの時間は楽器を見にいこう!」


 伊織さんに引っ張られるように導かれて楽器屋へと向かう。

 しかし、男との理想のデートというものはどういうものなのか気になる。


 これをおさえることによって気に入った女性を落とす……これだっ!



「それにしても茶髪も似合ってますね」


「そ、そうかな……? 一也くんが望むのなら茶髪に染めても……」


「いえっ! 伊織さんは黒のままでいてくださいっ!」


 咄嗟に出てしまったが、伊織さんは黒のほうが最高だし日本人は黒髪が至高なのだ。

 烏の濡れ羽のような黒髪こそジャスティスなのだっ!


「そうか、それなら黒のままでいよう」


 少し頬を染め、嬉しそうにウィッグの毛先を弄る伊織さんは最高に可愛かった。

 談笑をしながら歩くこと十数分……伊織さんの行きつけの楽器屋に到着した。


「ここが私がよく来る所だ」


 その楽器屋は年季の入った店構えをしており、老舗という言葉がぴったりと当てはまる。

 店の中には様々なギターが並べられており、値札を見れば殆どが20を超える値段をしている。


「やっぱりいいギターは違いますか?」


 ギターのことはさっぱりわからないので小学生のような質問をしてみる。


「もちろん。バイオリンと同じで年季の入ったギターはそれだけで深みのある音を出すし、やっぱり音の響きが違うよ」


 そう言ってギターを見つめる眼差しはとても真剣だった。

 音楽の世界は深く、幼少期に軽くピアノをかじってた程度ではなかなかこれらの良さを理解するのは難しい。


 しばらくギターを眺めていると、伊織さんが弦を数本買ってこちらへやってきた。


「さぁお昼を食べに行こうか」


 時計を見れば12時までもうすぐに迫っていた。

 楽しいデートというのは時間が経つのが早い……。


「なにか食べたいものはあるかな?」


「オムライスにしましょう!」


 即答し、伊織さん案内のもと近くにある洋食屋へと入る。

 この洋食屋も伊織さんがよく来る所らしく、美味しくない料理がないと豪語できるほどだそうだ。


 もちろんデミグラスがたっぷりかかったオムライスを注文する。

 因みに伊織さんはナポリタンを注文していた。


「次のライブとかっていつあるんですか?」


 ふと気になったので聞いてみた。


「次は再来週の土曜日だけど……来てくれるのかな?」


 ニヤリと笑いながらこちらを見つめてくる伊織さんに、行ってもいいのか聞くとチケットを用意してくれることになった。


「万難を排して待ってるよ。もちろんあの男護官を入れるし、別の警備も付くから安心してほしい」


 そう念を押されたのだが、いったいぜんたいどんなライブになるのかと想像してしまう。

 周りをガチガチに固められた状態でライブは、何というか異様な雰囲気にはなるだろうな。


「それじゃあライブ見に行きますね」


「そうかっ! それならば後でチケットを手配しておくよっ!」


 万全な体調でライブにいかないとな!と、ニマニマしながらナポリタンを食べる伊織さんなのだが、口に端にソースが着いてしまいどこか締まらない。


「チャリティーのときよりもいい歌声を期待してますね?」


 ニヤリと笑いながら言ったのだがこちらの口の端にもソースが着いており、それを伊織さんに指摘されて笑われ、逆にこちらも指摘し返して二人で笑いあった。


 もちろんその時店にいた他の女性たちからの羨望と嫉妬のごった煮な目線は、ビシバシと感じていた。



「ふぅ……さて、一也くんはどこか行きたいところとかはあるかな? ないのなら映画でも行かないか?」


「いいですね映画! 何見るんですか?」


 昼ご飯を食べ終わった三人は食後の軽い運動として、当てもなくふらふらと散歩していた。

 軽く満腹感も落ち着いて来た頃に、伊織さんが話を切り出してきた。


「見たい映画は就活をする四人の女が夢と現実で揺らぐ様を描いたヒューマンストーリーかな」


 窺うように上目遣いでこちらを見てくる伊織さんからは、どうかな?男の人はあんまり興味ないかな……?的な感じをガッチリ感じるが、はっきり言って凄く興味がある。


 女性の就活事情やら夢を追う感じとか、リアルに描かれているのなら尚更気になるものだ。

 あまりこちらに来てからはそのような難しい現実的な問題に当たったことはなく、夢と現実で揺らぐことなんかなかった。


 やりたいことは大体ができ、望めば大体のことが叶う……。


 でも、向こうにいるときは現実に呑まれたけれど、向こうとの違いはどういうものなのかを知りたい。

 これから働くときの気持ちの持ちようにもいい影響を貰えそうなので、伊織さんの見たい映画には興味があることを伝えた。


「そうかっ! あの映画は……もうすぐ放映時間だな。今から歩いて行けば丁度いいけどどうかな? タクシーと歩きならどっちがいい?」


 もちろん歩きを選択し、皆でゆっくりと映画館へ向かった。


 到着してすぐにポップコーンとジンジャエールを持ち劇場に入り、映画どろぼうとノースモーキング紹介と宣伝を見終わりいよいよ始まった。




 楽感的でムードメーカーだけど、実は人一倍現実を見ている香。


 優秀な大学に在席し、大企業に勤める選択をとるか夢を追うかで揺れる優子。


 俳優志望で、アルバイトをしながら夢を追い続ける雪菜。


 高校から就職してメキメキと実力を評価されて出世していったが、夢を諦めて現実をとった輝。



 高校のころから親友として過ごしてきた四人はそれぞれの道へと歩んでいたが、ニ週に一度〜一か月に一度の頻度で集まっていた。


 いつもは楽しく笑いあっていた四人も、就活や諦めた夢、今もなお追い続ける夢に葛藤を抱き嫉妬し、喧嘩や競合したりしながら揺れに揺れるものだった。


 脆くも固い友情、嫉妬に羨望に夢と現実。


 中々にリアルでどんどんと引き込まれていく内容だった。


 夢を追って叶えた伊織さんには突き刺さるものがあるんじゃないだろうか。

 この映画を見ていると、俺も真剣に仕事のことを考えなければならないなと痛感した。


 男にしかできないこと、本当に必要とされる場所で働かななければ男が働く意味はないと思った。


 伊織さんから声をかけられるまで、映画が終わってもしばらく席に着いたままだった。


「本当にいい映画でしたね。これからのことを真剣に考えるにはいい刺激になりました」


「それはよかった。私も沁みる所が結構あったかな……。ああいうのは身を引き締めるというか、初心とかここまで来るのに捨てたもの、捨てなければならなかったものを思い出すからいい刺激になるんだ」


 そういう伊織さんの表情はどこか憂いを帯びており、大切なものを捨ててここまで頑張ったということがよくわかる。


「伊織さん、夜は家で食べませんか? 美味しい料理を作りますよ?」


 男の手料理は女の夢というのを聞いているので、映画に影響された俺は必要とされたい欲求が高まりに高まっていた。


「ほ、本当か!? いくっ! もちろんご馳走になるともっ!」


 先程の憂いはそよ風とともにどこかへ消え去り、満面の笑顔が咲いていた。


「リクエストは受け付けますよ?」


 ニコリと笑い、ともにスーパーへと向かった。

 伊織さんからのリクエストは煮込みハンバーグだった。

電車に酔いながら4日かけて書き上げた今回…。


日をまたぎすぎるとダメだということを実感しました…。


前に書いた内容と整合性が取れなくなるということが多々!


まぁよい…とりあえずはストックを作ることに専念しなければ…。



よしなに…本日はお日柄もよく…。


最近FF14をやり直し始めました。


ポケモンにFF14に小説に…中々多忙な毎日を送っております。


筋トレをやってはいますが、最近は維持する程度の筋トレしかやっておりません…。


ポケモンの厳選が終われば…これが終わればバルクアップが待っているんだ…。


私の持ちポケはオノノクス、サメハダー、ジバコイル、ダダリンで、ラスト1匹に迷っております。


FF14はマンドラゴラ鯖で♀ルガ斧術士スタートのタンクライフをやっています。


充実した毎日に私はほっこりが止まりません!


次の回は、激突!伊織vs綾奈!です。


アニメ的な終わりに憧れてたんだ…。

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