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魔族令嬢の奴隷にされたけど、面白半分に付与された外れスキル【豚化】を活用して反逆します  作者: 三門鉄狼


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31 スキルの力で暴走してしまいました

「ひいい!」


 ラッシュは悲鳴を上げて化け物から逃げる。


 人間種がモーフジェムの力でオークになった。

 そこまでは理解の範疇だ。


 だが、あの人間はさらに巨大化し、見たことも聞いたこともない怪物に変化して、アンチジェムを使った檻を破壊してしまった。


「ゴアアアアアアアアアアアアア!」


 咆哮。


 まるでドラゴンの声のような轟音を響かせて、怪物が歩き出す。


 一歩歩むごとに、地面が激しく揺れるようだ。


「く、くそ、これもモーフジェムの力かっ」


 ならば、この怒れる神のごとき巨体も、ジェムの力で抑え込めるはずだ。


 そう判断し、ラッシュは声を上げる。


「アンチジェムの矢を持ってこい! あるだけ全部だ! 早くしろ!」


 部下の兵士たちが慌てて武器庫へ駆けていく。


 その間にラッシュは怪物から少しでも離れようとする。


 アンチジェムの効力は量と距離に比例すると言われる。


 量が多ければモーフジェムの力を抑え込める。


 さらに、モーフジェムに近づければ近づけるほど、アンチジェムの効果は強く発揮される。


 アンチジェムを加工した矢を放ち、あの怪物の体内に撃ち込めれば、ひ弱な人間に戻すことができるはずだ。


「そうすれば、貴様など」


「グオオオオオオオオオオオオオッ!」


「ひっ!」


 怪物はまるでラッシュの言葉に答えるかのように咆哮した。


 その、魂を震え上がらせるような声にラッシュは身を竦ませる。


「や、やめろっ、こっちにくるな!」


 必死になって手を振るラッシュ。


 しかし怪物は、足元にいる魔族になど気づいてもいないかのように通り過ぎる。


 そのまま怪物は、馬場の中央の処刑台へと向かっていった。


「ば、化け物!」

「うわああああ!」


 処刑台へと向かってきた怪物を見て、兵士たちが逃げていった。


 その場にはハピネだけが取り残される。


「…………」


 ハピネは動かない。


 逃げられないわけではなかった。

 彼女をここまで連れてきた兵士たちは、ちょうど彼女の手錠を外し、これから処刑台にくくりつけるところだった。


 だから、逃げようと思えばハピネは逃げられる。


 だが、


「……ぶー太」


 地響きを轟かせ、こちらに向かってくる怪物の姿を見ながら、ハピネはその場に止まり続けた。


「ゴアアアアアアアアアアアアッ!」


 絶叫を轟かせ、間近に迫る怪物。


 その腕がブゥン! と振るわれ、ハピネのすぐ上を通過していった。


 処刑台が一瞬で木屑に変わった。


「お嬢様!」


 蜘蛛の子を散らすように逃げていった貴族たちの中で、一人残っていたヒルドが声をあげた。


 大丈夫。

 見ていて。


 そう心の中で呟きながら、ハピネは一歩も動かず、怪物を見上げる。


 今の拳は、まるで理性的じゃなかった。


 一歩間違えばハピネが吹き飛ばされ、肉片にされていただろう。


 ぶー太は正気を失っている。


 自分がなぜこんな姿になっているのかすらわからなくなっているのかもしれない。


「グルルル……」


 唸り声を上げ、怪物が手を伸ばしてくる。


 ゴツゴツとした太い指がハピネを掴んだ。


「ぐっ」


 骨がミシッと音を立てそうなほどに強く握られ、宙高く持ち上げられて、顔の前にまで持ってこられる。


 怪物の目がハピネを見ている。


 黒々とした、底の見えない瞳が、自分が握った獲物を見ている。


 グパッと口が開かれる。大量の乱杭歯と二本の牙がよだれをたらしながら間近に迫る。


 オークに襲われ、殴りつけられそうになったときより怖いはずの状況。


 しかし、ハピネは恐怖を感じなかった。


 きっとそれは――


「ぶー太」


 ハピネは手を伸ばす。


 牙の隣、洞窟のように巨大な鼻の上に触れる。


「助けて、くれるんだもんね」


 ――生まれて初めて、約束したから。


 未来につながる言葉。


 ハピネに未来があると、思わせてくれる言葉を。

 初めて与えてくれた相手だから。

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