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甘々ショート⑤

 

「私の方が好き」


「わ、私だって大好きです!」


 今日は朝から惚気話。

 どちらが好きか……なんて、幸せな事でお互いが主張を譲らない。

 まぁ……私の方が好きだけどね。


「じゃあ……キス、我慢しよっか。我慢出来なくなった方が負けね」


「い、嫌です……でも私の方が好きなので……我慢します……」


 負けてもいいやって思えるほど、可愛くて愛しい彼女。

 抱きしめて、いつもどおりおでこ同士をつける。


 目と目が合うと、理解する。

 これは──


「こんなに近くにいるのにキス出来ないなんて……ふふっ、ヤバイね」


「……してくださっていいんですよ? 私の気持ちは例え日向さんでも負けませんから」


 そう言った彼女の瞳は甘く蕩け揺らいでいる。

 唇を少しだけ噛んでいるのは、我慢している証。

 可愛すぎて私が持ちそうにない。



 トイレに行ってくるときのキスも、お昼御飯を食べる前のキスも、ふとした時に目があったときのキスも、全て我慢した。


 毎日何回キスするんだろうって、思わず笑ってしまい……ふと彼女を見ると、震えながら涙目で私を見つめていた。


 もう……いいよね。

 だからそんな顔、しないで?


 どちらからともなくゆっくりと近づいたけれど……先に彼女から目を閉じて、私達はキスをした。


「私の勝ちでいいのかにゃ?」


「こ、これはキスではありませんから……引き分けです」


「ふふっ、じゃあなぁに?」


「…………チュウです」


「もー……私の負けでいいよ。雫、大好き」



 好きだから我慢出来るし、好きだから我慢出来ない。

 それでも、こんなに幸せな気持ちにさせてくれるのだから、負けでいい。

 私が思っている以上に、私は想われている。

 

 私から思い切りキスをして、とびきりの愛で抱きしめた。

  

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