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甘々ショート③


 今日は日向さんがお休みの日。

 そんな日は一緒にゆっくりしたいのだけれど……


「ねぇ、今日は何しよっか」


「実は午前中までに大学へ提出するものがありまして……」


「私も行っていい? 一度見てみたかったし」


    ◇


 事を済ませ、日向さんを案内している。

 大学に日向さんがいるなんて、不思議な感覚。


「へー、広いなぁ……何あれ? お洒落な建物だね」


「ここは古い建物が多くて、有形文化財にもなってるんです。私なんて、似つかわしくない場所ですよね」


 他の学生は、違和感なくこの街のこの場所に溶け込んでいる。

 私は、いつまでたっても馴染む事が出来なくて孤独を感じていた。


「……ちょっとさ、そこに立ってみて」


 言われた場所に立つ。

 日向さんは真剣に、でも優しい顔で私を見つめている。

 顔が熱くなっていく感覚がする。


「うん、似合ってるよ」


「ほ、本当ですか……?」


「似合ってるから── 」


 そのままおでこにキスをされて、抱きしめられる。

 見られてるとかそんな事よりも、嬉しさの方が勝っていて今は気にならない。


「これからここを通る度に思い出してね」


 手を繋いで、構内の様々な場所を散歩した。

 一つ一つの景色が、日向さんと紐付けされていく。

 

「私高卒だからさ、大学って憧れてるんだよね。勉強はキライだけど」


 そう言って笑う日向さんは、テレビで見る顔とは違っていて……

 恋人として、少しは隣を歩けている気がして嬉しくなる。

 

「可愛い顔してる。さては私の事考えてたにゃ?」


「……はい。でも…………」


「ん?」


「四六時中ですよ? 大好きな人ですから……」


 この顔も、私だけに見せてくれる。

 恥ずかしいけど、私を好いてくれている顔。


 背伸びをして、おでこに口を付けた。


「こんな私を好きになって下さり、ありがとうございます」


「……うん。そんな雫だから好き」


 ベンチに寄り添うように座る。

 私も日向さんも、多分同じことを考えている。 


「家……帰ろっか」


「そうですね。一緒にケーキ作りませんか?」


「……私は食べる専だから。ケーキも……恋人も、ね?」


「そっ、や、あっ……ふぇっ!?」

 

「ほら、行くよ。お腹減っちゃった」 


 どちらの方か……そう聞こうと思ったけど、恥ずかしすぎて止めた。


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