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好き、だから


 就寝前、ベッドの上で日向さんと写真を見ている。

 子供の頃の日向さん。

 可愛すぎて、ずっと見ていられる……筈なのに………


「これは……小学校の遠足の時だね。牧場に行って…………雫?」 


「…………」


「おーい、雫ちゃん?」


 心の中が悪い色をしている。

 モヤモヤとして、切なくて。

 

 私は……なんて我儘な人間なんだろう。

 こんな事を考えていたら日向さんに……

 

 あれ?私今何を……


「!? ご、ごめんなさい私……」


「おかえり。大丈夫?」


「だ、大丈夫……です……」


 私は嘘をついたり誤魔化したりするのが苦手。

 だからこれも日向さんにバレてる。


 私を真っ直ぐと見つめるキレイな瞳に、嘘はつけない。

 

「その……可笑しな話ですよ?」


「いいよ、聞かせて」


「…………当たり前の事なんですけど、昔の日向さんの写真に……日向さんの隣に私がいないので…………少し悲しくて。可笑しいですよね」


「……可笑しくないよ」


 そう言って日向さんは私を抱きしめて半回転した。

 いつもとは逆で……

 私が日向さんの上にいる。


 顔が熱い。

 私は今、どんな顔をしているのだろうか。


「雫からキスして」


 震えながら優しく口をつけた。

 どんなに重ねても、恥ずかしくて怖い。

 でも、いつだってして欲しいし、勇気があるならしたい。

 だって……


 そうか……そうなんだ。


「ね、可笑しくないでしょ?」


「……はい。大好きです」


 好きだから、いつだって隣にいたい。

 今も昔も……これからも。


「今度連休が取れたらさ、私の実家に行こうよ。雫の事はもう言ってあるから」


「な、なんて言ってあるんですか?」 


「ふふっ、好きな子が出来たって」

 

 その言葉が嬉しくて、思わず抱きついてしまう。

 その中心には、速い鼓動が……2つ。


 鼻と鼻がくっついてしまいそうな程、近くに日向さんがいる。

 

「ねぇ、どっちがキスを我慢できるか勝負しようよ」


「……では、私の負けですね── 」


 負けても幸せな勝負。

 好きなのだから、可笑しい事は何も無い。


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