エルさん
遅くなりました。
不快になる表現があります。
ごめんなさい
月日は流れ、学園にヤードとココル姫が入学してきた。
予定通りだ。
いや、1つ違うことと言えばエルさんもヤード達と一緒に入学したことだ。
家に閉じ籠っていると男性恐怖症は治らないだろうし、昼間一人ぼっちになってしまうのは避けたかった。
勿論ヤードとココル姫がついていてくれるし、寮の部屋は私と一緒だから安心だ!
そのはずだったんだ。
食堂でラブラちゃんにエルさんを紹介していた時に事件はおこった。
「あ、やっぱりエールリア嬢!」
優しげな顔の男だったが、エルさんは困ったような顔をした。
嫌いなんだな~って漠然と思ったその時、男はエルさんに暴言を吐いた。
「ああ、本当に髪の毛が真っ白じゃないか!僕、君の事好きだったのに!犯されてしまったんだろ?愛人でよければ僕が引き取ってあげるよ」
殺そう‼
私が殺意をにじませると、もう一人男が近付いてきて言った。
「僕なら正妻としてむかえますよ!だって君と結婚すれば伯爵位が手に入るんでしょ?」
エルさんは真っ青な顔でプルプルと震えていた。
私は最初に話しかけてきた男の首を右手で掴んだ。
見ればもう一人の男の首をお兄様が私と同じように掴んでいた。
「「殺すぞ」」
お兄様と私の息はピッタリだ!
すると、エルさんは慌てたようにお兄様の腕にしがみついた。
しかもプルプルと横に首をふって止めるように意思表示をしている。
「エル、こう言う害虫は早めに駆除しないと数が増えるから今のうちに息の根を止めないと……」
エルさんは目に涙を浮かべてプルプル首を横にふった。
お兄様はため息をつくと男達に向かって言った。
「エルに2度と近付くな」
「何故、バーテミック様が割って入られるのか理解できない」
私に首を捕まれた男が叫んだ。
「エルは犯されてなんかいない。僕が助けたからね。ただでさえ心に傷をおったエルにあんな酷いことを言ったんだ。君達も心に傷をおうと良いよ。カーナ、頼むよ」
「勿論ですわ!一人じゃ夜中にトイレに行けなくして差し上げます!」
私は二人に幻術をかけた。
勿論前世のホラー映画を参考にゾンビに追いかけられて喰われる幻術にした。
カエルを口に入れられて体の中にカエルが入っていってしまう物と悩んだが、ヤードに知られたらカエルが可哀想だって言われそうだから止めた。
二人が絶叫して走り去ったのを見ながらお兄様は呟いた。
「死ねば良いのに…」
「お兄様、死ぬ方がましな事もありますのよ」
「………どんな幻術をかけたんだい?」
「生きたまま喰われる………みたいな?」
「聞いただけで良い気味だ」
お兄様は満足そうな顔をした。
そしてエルさんに視線をうつすと言った。
「エル、僕はエルの白い髪の毛も好きだよ。だって僕とお揃いだろ?エルは何も蔑まれる筋合いはないんだよ」
エルさんは泣きそうな顔でポケットからメモ帳を出すと一生懸命に何かを書いた。
そしてお兄様に突きつけた。
『私は、もう男の人が怖い!だから、もう修道院でシスターになります』
お兄様は慌てて言った。
「駄目だ!認めない」
「………」
「エルは僕の奥さんになるんだからシスターなんて認められない」
エルさんは目を大きく見開いた。
「はじめてエルに会った時から決めてたんだよ。エルは僕の奥さんにする。エルが僕じゃ嫌だって言わないかぎり、決定だから」
エルさんはまだ驚いた顔のままフリーズしている。
「僕がエルを好きなのは結構有名なんだけどな?だから、ヤードだってエルの事をエル姉様って呼ぶんだし」
「………う………」
「う?」
「う……そ……」
今度はお兄様が驚く番だった。
エルさんの声にお兄様は目を見開いた。
「え、エル!声!」
お兄様は感極まってエルさんを抱き締めた。
「エル!エル!エル!」
「お兄様!エルさんがつぶれてしまいますわ」
「兄様、イチャイチャするなら二人きりの時にしてあげてください。エル姉様が羞恥心にやられて死んでしまいますよ」
いつの間に来たのかヤードがお兄様に突っ込んいた。
「二人きりの時に抱き締めたら、それだけですむ気がしない」
「お兄様、エルさんが嫌がったら止めてあげて下さいね」
「解ってるよ!エルに嫌われるのは嫌だからね」
お兄様、エルさんは今まさに必死にお兄様の腕の中でもがいているよ。
「ば……と……さ……や」
「…………可愛い」
お兄様………
「バート様、嫌っていってますよ兄様、エル姉様アッパーのやり方教えたでしょ?殺って良いよ」
ヤード………
家の男達は………
私は取り合えずラブラちゃんに向かって言った。
「ラブラちゃん、エルさんはお兄様の婚約者なのでこれから仲良くね。エルさんと仲良くなっておけばお兄様は味方になってくれますからね」
「は、はーい!」
ラブラちゃんは今お妃様になるための勉強中だ。
私はラブラちゃんを誰からも完璧だと言われるお妃様にしたい!
「ナル、エルちゃん助けなくて良いの?」
「このタイミングで声を出してしまったエルさんのミスですわ!ヤード、紅茶の用意をしてくれないかしら?」
「直ぐに用意しますね。姉様」
私はお兄様とエルさんを放置して、ヤードの興味を奪った。
「か……な……さま……た……けて」
カーナ様助けてって言っているが、お兄様の邪魔をするのは私の得にはならないからごめんねエルさん。
私達は二人がイチャイチャするのを見てみぬふりをした。
暫くして王子が現れ、エルさんを助けてお兄様に殺意を向けられて殴られていたが、それも私達は無視したのだった。
次はヤード君の番かな?




