第77話「俺はその2人の彼氏だからさ。つまり2人とも俺の彼女ってこと」
「はぁ?」
思わず呆れた声が出てしまったよ。
なんで俺が、見ず知らずのナンパ野郎を優先して引かないといけないんだ。
俺は2人の幼馴染みだぞ!
意味が分からないんだが。
そもそも俺が彼氏じゃないとか言われる以前に、お前らなんか知り合いですらないだろ。
なんでそんなに偉そうなんだよ?
いや、こいつらの中では論理が繋がっているんだろうな。
俺らの方が格上(自称)だからお前は消えろ、みたいな?
知らんけど。
「てめぇみたいな冴えない男は不釣り合いだって言ってんだよ」
「そうそう、しょせんお友だち止まりのお前はどっかいけよ」
小春と姫乃ちゃんに向けていたチャラチャラした態度から一変、ナンパ野郎どもは俺に対しては敵意を剥き出しで、ドスの利いた声ですごんでくる。
あのさぁ?
小春や姫乃ちゃんは今のお前らの態度の豹変を、すぐ目の前で見ているんだぞ?
それを見た2人がどう思うかとか、考えないのか?
考えないんだろうなぁ……。
むしろ雑魚にすごむ俺らって強そうでカッコいいだろ、とか思っているのかも。
知らんけど。
というかもはや知りたくもないかった。
はぁ、なんかイライラしてきたな。
せっかく楽しい気分で小春と姫乃ちゃんと動物園でデートしてたのに、こいつらのせいで一気に台無しだ。
謝罪と賠償を要求したい気分だよ――と、俺は「いいこと」を思いついてしまった。
多分だけど、小春と姫乃ちゃんもこいつらにイラついてるだろうから、俺の意図に気付いてすぐに話に乗ってくれるはずだ。
よーし。
ここはいっちょ、このナンパ野郎どもをギャフンと言わせてやるか。
「何か勘違いしてるみたいだけどさ」
俺は右手で前髪をファサっとかき上げながら言った。
「勘違いだと?」
「なにがだよ? すかしてんじゃねぇぞ」
「俺はその2人の彼氏だからさ。つまり2人とも俺の彼女ってこと」
俺は堂々と言ってやった。
「は? 2人ともだと? なに言ってんだお前?」
「嘘をつくならもっとましな嘘をつけっての。笑わせんなよ」
ナンパ野郎2人組は呆れたように言ったのだが、
「なんで嘘を付かないといけないんだ? そもそもお前らだって、俺ら2人なら女の子3人でも4人でも大丈夫とか、さっき言ってだろ?」
「うぐっ、それは……」
「いや、言ったけどよ……」
言質を取られていたと知った2人組は、そこで明らかに少しひるんだ様子を見せた。
俺はここぞとばかりに畳みかける。
「俺も一緒さ。この2人を幸せにするくらい、俺には造作もないんだよなぁ。な、小春、姫乃ちゃん?」
「まったくだしー」
「勇太くんの言う通りですね」
「アタシたち二人とも、ユータの彼女だから」
「はい、そうなんですよ」
もちのろんで、2人は即座に話を合わせてくれた。
「ってわけで、人の彼女をナンパするの、やめてもらえるかな? これ以上はさすがに気分が悪いからさ」
「……ちっ、行こうぜ」
「お、おう」
というわけで、哀れナンパ野郎2人組はすごすごと退散していったのだった。
俺、WIN!




