第42話 姫乃ちゃんは幼馴染み・・・?
「ふふふ、ひめのんもお年頃だねー」
「なんで小春が微妙にドヤ顔なんだよ……ちなみに姫乃ちゃんはどういうマンガが好きなんだ?」
姫乃ちゃんのことなら何でも知りたい俺である。
「私はやっぱり恋愛ものでしょうか」
「わかるー! キュンてなりたいよねー!」
「スポーツ、異世界、能力バトルと並んで、恋愛ものはマンガの王道だよな」
男女問わず、恋愛ほど普遍的な題材はないだろう。
「運命的な出会いだったり、幼い頃に生き別れた2人が再会したり。そういうドラマチックな恋は、すごく素敵だと思います」
初恋の女の子が恋愛観を語るのを見て、しかもそれが自分との関係性と似ていることを理解して、俺は何ともこそばゆい気分になってくる。
まるで告白されているみたいに思ってしまうというか。
「はいはいー! アタシはやっぱり幼馴染みものがいいと思いまーす」
特に聞いてもいないのに小春が勝手に語り出した。
「幼馴染みものですか」
姫乃ちゃんが小さくつぶやく。
「付かず離れずの2人が、少しずつ距離を縮めていって、途中で出てくるポッと出のヒロインに打ち勝って、最後にハッピーエンドで結ばれるの。これぞ恋愛の自然体だよね♪」
言いながら小春が俺に視線を向けてきた。
俺と小春は幼馴染みである。
これまた小春は好きなマンガを語っただけなのに、まるで告白されたみたいな気がして、俺はなんともくすぐったい気分になってしまうのだった。
と、ここで俺はふと思い出したことがあった。
「そういや、前から思っていたんだけどさ」
「どしたのユータ?」
「どうしたんですか、勇太くん」
「いやさ、姫乃ちゃんは小学校の時からの友だちだし、むしろ小春よりも昔からの知り合いだから、姫乃ちゃんも俺の幼馴染みと言えるよな?」
「え……っ?」
俺の言葉に、小春がポカンと口を開いて固まった。
「たしかに、言われてみればそうですよね」
「だろ? 俺と姫乃ちゃんって、幼馴染みと言えなくもないんだよな。ってことなんだけど、小春はどう思う?」
ポカンとしていた小春は、そこでハッとしたように肩をピクッと跳ねさせると、慌てた様子で言った。
「やっぱり幼馴染みっていうのは昔からずっと一緒っていう関係性が大事だと思うんだよね。昔ちょっと一緒だっただけなら、それは幼馴染みじゃなくて昔の知り合いって言うんじゃないかな?」
「ま、まぁたしかに……」
超早口で問い詰めるように言われてしまい、俺は気圧されて頷くしかできなかった。
ちょうどそこで完全下校時間の10分前を告げる音楽が流れて、
「そろそろ帰るか」
「うん」
「帰りましょう」
俺たちは図書室を後にしたのだった。
こうして中間テスト対策勉強会は、楽しい思い出とともに幕を閉じた。




