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第25話 ♡2つのお弁当♡ ~ダブルブッキング~

 そんなこんなで初めての高校の授業を、まずは午前中の4時間を乗り切り、迎えたお昼休み。

 俺はお弁当を持ってきていなかったので、お昼ご飯は学食にしようと思っていたのだが、


「ユータのぶんもお弁当を作ってきたんだー。一緒に食べよー」

「勇太くん、お弁当を作ってきたんです。一緒に食べましょう」


 昼休みになるや否や、両隣の小春と姫乃ちゃんがそう言って、鞄の中から2つのお弁当を取り出した。


「ユータのお弁当?」

「勇太くんのお弁当?」


 ハモりながらつぶやくと、まるで時が止まったかのように、俺を挟んで見つめ合う小春と姫乃ちゃん。


 えーと、その、うん。

 これっていわゆる一つのダブルブッキングってやつ?


 いや料理だからダブルクッキングかな。

 ハハハ――などというクソ寒いボケは置いといて。


「ひめのん、ユータにお弁当作ってきたんだ」

「小春ちゃんも勇太くんにお弁当を作ってきたんですね」


 2人はそう言うと、これまた鏡写しのようにそろって俺を見た。


「ふ、2人ともありがとう! お弁当を2つも食べられるなんて嬉しいなぁ!」

 果たしてそれ以外の答えが俺にできただろうか?


 こうして俺は高校初日のお昼休みに、小春と姫乃ちゃんの作ってくれたお弁当を食べることになったのだった。


「ど、どどどど、どゆこと?」

「我がクラスの誇る二大美少女から手作り弁当だと?」

「いったい前世でどんな徳を積んだら、そんなことになりえるんだ?」

(ねた)ましい。ただひたすらに妬ましい……」

「千堂勇太、覚えたぞその名前」

「俺のひめのんがぁ……」


 周囲の視線が痛い。

 特に男子の視線が。

 やっかみに慣れているとはいえ、さすがにこの状況は心苦しい俺である。


 あと千堂じゃなくて天道な。

 覚える時点からして間違えているからな?


 ちなみに女子たちは、興味津々って感じの楽しそうな視線を送ってきていた。

 いろいろと噂されるであろうことは間違いない。


 ともあれ。

 俺はこの状況を好転させるべく、2人にある提案をする。


「今日はぽかぽか陽気で暖かいし、中庭で食べないか?」


 俺の記憶が正しければ、たしか学校説明会で、中庭に机とベンチがあって、天気のいい日はそこでお昼を食べる生徒も少なくない、みたいなことをチラッと言っていたはずなのだ。

 何年か前に、有名作家の卒業生が寄付したとかなんとか、そんな話で。


「ユータが行きたいならいいよ」

「今日は日差しが暖かいので、外で食べるのは気持ちよさそうですね」


「じゃあそういうことで」


 というわけで、俺たち3人は、合計4個のお弁当を持って中庭へと移動することにした。


 ふぅ、やれやれ。

 なんとか教室という名の見世物小屋から、脱出することに成功したぞ!


 せっかく2人にお弁当を作ってきてもらったのに、これじゃ食べた気がしないだろうからな。


 校舎と校舎の間にある中庭に着くと、少し濃いめの茶色の机と、同色のベンチが並んでいて、そこだけ公立高校とは思えないオシャレ感があった。


「わっ、いいじゃんここー!」

「はい、すごく素敵ですね」


 まだ春先ということで利用者は少なく、ほとんど俺たち3人の貸し切りのような状況だ。

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