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第24話「きゃー」→「なにヨタヨタダンスしてるんだ?」

 そりゃ嬉しいに決まってるんだけど、小春がいるおかげで女子を割と素直に褒めることができる系男子の俺でも、「身体を触って嬉しかった?」という問いにはさすがにちょーっと答えにくいぞ!


 しかし姫乃ちゃんに自信を持たせるためにも、答えないわけにはいかなかった。


「え、えーとだな? その……嬉しかったかと聞かれたら、そりゃまぁ嬉しかったぞ?」


 俺が決死の覚悟で答えると、


「……はぅ」

 姫乃ちゃんが今日一ってくらいに顔を真っ赤にして、そのままプイっと俺と反対側を向いてしまった。


 自分で聞いておいて、そんなに恥ずかしがってたら世話ないよ姫乃ちゃん!

 そんな仕草もすっごく可愛いけれども!


 なんてやり取りをしていると、


「きゃー」

 なんか小春の声がして、小春が突然ヨタヨタっとよろめいた。


「なにしてんだ小春? インスタで新手のダンスでも見たのか?」

 小春が急にヨタった意図が分からなくて、俺は冷静に小春に問いかけたのだが。


「ユータ、なんか対応が違うんですけどー!」

 踏みとどまった小春が、なぜだか俺を睨んできた。


「対応って……なんだよ、わざとコケるふりしたのかよ?」


「『わざと』じゃなくて『敢えて』ですー! ひめのんはぎゅーって抱きしめたでしょ? なのにアタシはなんでスルーしたのかな?」


「状況が違うだろ。今のはどう見てもこけなさそうだったぞ? 重心は腰に乗っていたし、手でバランスもとっていたし。コケる要素は皆無だったと断言できるな」


 だから俺も新手の謎ダンスかと思ったわけで。

 名探偵・勇太によって全ての悪事を見抜かれた容疑者・小春は、


「えへっ」

 てへぺろっと舌を出して誤魔化そうとしてきた。


 それでなんでも誤魔化せると思うなよ――ごめん、やっぱり可愛いから許す!

 俺たちは幼馴染みだしな。

 これくらいは日常茶飯事のやり取りなのだ。



 ってな感じのことがありつつ。

 その後は特に何かアクシデントがあるわけでもなく、俺たちは正門を抜け、昇降口で上履きに履き替えて教室へと向かった。


 さすがに校内の廊下は狭いので3列横隊を解除し、小春と姫乃ちゃんが横並びで、俺はその後ろをついて歩いていく。


「みんな、おっはよー」

 小春は元気よく、


「おはようございます」

 姫乃ちゃんはおしとやかに。


 まずは2人が挨拶をして教室に入ると、室内にいたクラスメイト達が華やかに反応した。


「小鳥遊さんと二宮さんだ」

「一緒に登校してるー」

「やっぱり気が合うのかな?」

「美人同士、絵になるよねー」

「わたしも仲良くしたいなぁ」


 2人への憧れの声とともに男女問わずたくさんの「おはよう」が飛んでくる中、続けて俺も「おはよう」と一声かけて教室に入った。


 俺に対しては特に反応はなかった。


 男子は半数くらいが「うーっす」「よーっす」「っはよー」「ういー」と挨拶を返してくれたが、それだけ。


 加えて女子はほぼ無反応を返してきた。

 せいぜいが小声でボソッと返事をしたり、顔をあげて会釈してくるくらいだ。


 これが格差社会か――などとは思わない。

 ま、世の中そんなもんである。


 しかし席に座った俺が、小春と姫乃ちゃんに左右から美少女サンドイッチされながら話し始めると、クラスメイト達は――特に男子たちが盛大にざわめき始めた。


「ちょ、え? どゆこと?」

「なんで千堂のやつ、小鳥遊さんだけでなく二宮さんともあんなに仲がいいんだ?」

「昨日の放課後から既に仲良さげだったぞ。2人を遊びに誘おうとしたんだけど、親密過ぎてとても声をかけにいけなかったし」

「おいおい、新入生の2大美少女を独り占めかよ?」

「両手に花じゃん」

「ううっ、俺の小春ちゃんがーーっ」

「俺の姫乃ちゃんもーー!」

「少なくともお前らのではないな」


 なんて声と、驚きや嫉妬、興味、奇異の視線が俺へと向けられる。

 ま、そういうのを気にしていてもしょうがない。

 中学時代もモテ女王と名高い小春と仲が良かった俺は、男子からやっかみを受けることが少なくなかった。

 なのである程度は慣れてはいるのだ。


 あと千堂じゃなくて天道な。

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