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コロシタノダレ ~黒幕の脅威と地下学園脱出~  作者: まつだんご
―エピソードⅤ― 「特等席と魔獣の巣」
29/70

第四十九話 『 静寂の五日間 』 2/3


 床が揺れ始めるトラップルーム


 外で一体何が起きているのか分からないが、床が大きく揺れ始める。完全防備のトラップルーム内からも聞こえてくる程の爆音が室外から響き渡る。


 現在トラップルームに閉じ込められているのは神崎夏男、篠原すみれ、六条冬姫、電田龍治、鎌倉雲人の5名。室内で身動きが取れない5名はただただパニック状態。


 その直後に今度は恐ろしい内容をアナウンスで聞かされる事になる。


 プレイヤー死体発見報告。


『ぴんぽんぱんぽーん。プレイヤーの死体が発見されました! 詳細はペル手帳に送られてくるメールを確認して下さい。繰り返します。プレイヤーの死体が発見されました! 詳細はペル手帳に送られてくるメールを確認して下さい』


 〝ピピッ〟


 各々の所持する電子手帳ペルからピピッと電子音が鳴る。確認してみると誰かからメールが届いているようだ。このタイミングで誰かが殺されたというのか、メールに書かれた内容は……


 プレイヤーの死体が発見されました

 死体発見時刻はゲーム開始1日目・15時09分

 被害者は被験者ナンバー06堂島どうじま快跳かいと

 死体発見者は爾来也じらいや伊吹いぶきの1名

 死体発見場所はエスケープルートエリア・PPP入り口付近

 以上!


 P.S.建物内に設置されている監視カメラを外したり壊したりしたプレイヤーは、バツシマスの受刑対象者になるから気を付けるようにね!


 メールの内容を読み終えた5人のプレイヤー達。読み終える頃には床の揺れがおさまっていた。同時に2つの出来事が起こってパニック状態に陥るかと思いきや、地響きを気にせずプレイヤーの死体発見通知だけに集中を向ける夏男。


「死体発見通知……このタイミングで……」

 堂島快跳、誰だ。エスケープルートの入り口サインに書いてあった〝Carlos〟か?


 堂島快跳という人物を一切知らない神崎夏男がプレイヤーらに尋ねてみると、電田龍治が推理をまとめて疑問で返してきた。


「私らより先にサイン用紙に書かれた名前は釈快晴ともう1人はCarlosだった。あの用紙に書くサインって、本人の直執であれば偽名を使っても良いっていう可能性もあるんじゃないかい?」


 電田の疑問に答えようと口を開けた夏男だが、篠原すみれが割って入る。


「最低だ。何でこんな事になっちまったんだ」


 亀谷妙子の死をきっかけに精神的に追い込まれてしまっているのに加え、右足の出血が止まらず息を荒くしている篠原すみれ。そんな彼女の銃傷に上着を巻きつけてあげ、隣で座って見守っているのは鎌倉雲人だ。


 その鎌倉の顔色が驚いた表情を見せて青ざめた顔色をしている。そして一言。


「堂島快跳って、え? どういう事よ。何であの子の死体が此処エスケープルートで見つかるの!?」


 明らかに動揺している鎌倉雲人。プレイヤーの死体が発見された事が分かったんだ、無理もない。と思ったがそれにしても様子がおかし過ぎる。堂島快跳を知っているのだろうか、彼の死体発見など絶対に有り得ないと言い出した鎌倉。


 立ち上がってから室内中を物色して隠しカメラを探している鎌倉。


「ちょっと黒幕のクソ共オイゴラ。あたしの声は届いているのかしら? 堂島快楽の死体が発見されたってどういう訳なのかあたしにちゃんと説明しなさいよ!」


「鎌倉さん……堂島と知り合いなのか?」


 夏男が鎌倉に問う。


「知り合いもなにも〝生存していた彼〟とは一度も会ってはいないの」


「ん?」


 引っ掛かる言い方をして返答した鎌倉。それに対して次の質問をぶつける夏男。


「堂島快跳という人物と会ってないけど知り合いか?」


「知り合いでもないけどっていいからオイゴラ、チュリぞう! 聞こえてるなら返事をしなさい!」


「残念だが此処には隠しカメラらしき物は無い。音声は向こうに届いてるかもしれないがきっと奴らは何も教えてくれないだろう」


「何であんたはそんなに冷静でいられるのよ!」


「鎌倉さんこそ少し落ち着いたらどうだ。こんな監禁された状況で感情的になったらみんなの不安を更に煽るだろう。それよりも堂島について知っている事があるなら話を聞かせてくれないか?」


 これからあっさり真実を告げる鎌倉であるが、その内容はとても信じられるものではなかった。


「彼、堂島快跳は此処にプレイヤーが連れて来られる前に行った黒幕の言う試験とやらの期間中〝発見〟したのよ」


 鎌倉の遠まわしな説明の仕方にハッキリ言ってくれと頼む夏男。


「発見? 何か意味深な言い方だな。ハッキリ言ってくれ」


「驚かないで聞いてちょーだい。いや、驚かない訳がないわね」


 鎌倉の目が全開してから彼の口から驚きの真実が語られる。


「堂島快跳は〝既に死体〟で発見されているわ!」


 一同は頭の中でクエッションマークを浮かべる。


「は?」

「ん?」

「え?」


「だから此処に監禁される前にあたしは彼の死体を発見してるのよ。閉じ込められる寸前の話で彼の死体を発見してすぐに気を失ったわ!」


 堂島快跳はゲームが始まる前から死んでいた?


「気が付いたらこんな訳分かんない胸糞悪い所に居て……だから訳が分からなくて。何でこのタイミングで、しかもあたし達と同じ場所のエスケープルートで彼の死体が発見されるのよ」


 ペル電子手帳に送られてきた黒幕からのメールを再度読んでみる夏男。


「死体発見時刻はゲーム開始1日目、15時09分。被害者は被験者ナンバー6の堂島どうじま快跳かいと。死体発見者は爾来也じらいや伊吹いぶき。死体発見場所はエスケープルートエリアPPP入り口付近……」


 電田龍治が疑問に思った事を呟く。


「どうして堂島の死体を発見したのが伊吹ちゃん1人なんだ。伊吹ちゃんは未来と向日葵ちゃんと一緒じゃないのか?」


 答えるのは夏男。


「分からない。いきなり銃声が聞こえたかと思えばすみれさん達を見つけて……すみれさんがこの部屋に入って行くのを確認した時は、てっきり他の3人もこの部屋に避難していたのかと思ってた。あの瞬間に逸れた3人がどの方角へ行ったのか見てた奴はいないのか?」


 皆、首を横に振る。どうやら爾来也伊吹、青田向日葵、未来の3人が同じ方角へ逃げたとは限らないよう。


 それぞれに釈快晴による攻撃を受けた際の一連の流れを思い出してもらい、皆の記憶を辿って繋ぎ合わせる作業を始める夏男。彼のこれまでの経験と推理力が試される時であるのだ。


 ☆ヒント1 特等席の銃撃【爾来也伊吹、未来、青田向日葵の3名と逸れたきっかけ】

 ☆ヒント2 閉ざされた間【篠原すみれを初めとした計5人の避難場所】

 ☆ヒント3 周囲の状況【傍には爾来也伊吹の脱ぎ捨てた着物や日本刀が落ちていた】

 ☆ヒント4 右足の出血【篠原すみれの右足に特等席の銃撃が1発命中する】

 ☆ヒント5 金髪の怪物【両脚が切断された怪物が大量出血をして倒れていた】

 ☆ヒント6 サイン用紙【エスケープルート入り口のサイン用紙に堂島快跳の名前はなかった】

 ☆ヒント7 2名の名前【夏男らがサイン用紙を発見した際に書かれた釈快晴とCarlosのサイン】

 ☆ヒント8 鎌倉の証言【鎌倉雲人の証言が正しければ、堂島快跳はゲーム開始前に死亡している】

 ☆ヒント9 爆音と地震【堂島快跳の死体発見通知が届く数秒前に原因不明の爆音と地震が起きた】

 ☆ヒント10 すみれの証言【すみれの証言が正しければ、このゲームは3つの人体実験が同時進行中である】

 ☆ヒント11 堂島の目撃情報【フレームデッドゲーム中での堂島快跳の目撃情報はなし】


 今日1日で起きた出来事を整理しながらゆっくりと謎を紐解いていこうと集中して推理している夏男。


 少しの時間が経過した頃。何かが繋がったのか「まさか」という表情を見せてから横になっている篠原すみれに話し掛ける。


「すみれさん。さっきの3つの実験の話についてなんだけど……もっと詳しく教えてくれないか!」


「え……」


「堂島について繋がりそうで繋がらない事が2~3あるんだ。協力してほしい」


「分かった」


 それからトラップルームに閉じ込められた5名が力を合わせ、夏男の推理を軸に真実のピースを繋ぎ合わせる作業を始めるのであった。


 六条冬姫は相変わらずの無口を通して真実を一つも語ろうとしない。その上身体を小刻みに震わせてながらブツブツと何かを呟いていた。


 途中篠原すみれの出血が酷くなり、止血作業に入った。少し時間が経ってから今度は夏男が熱を出してしまい、倒れ込んでそのまま眠る。無理もない、夏男も銃弾で右肩を撃たれた怪我人なんだ。


 堂島の死体通知を受信した今より〝5日〟の間。トラップルームに閉じ込められて身動きがとれないでいた5名。


 合計120時間もトラップルームで監禁されていた5名は、次第に推理どころではなくなり「此処から出られるのか」という不安や「出たとしても外は危険か」などといった状況の絶望感に加え、食料すら手元に無いので精神的にも肉体的にも限界がきてしまう。


 この5日間は黒幕サイドのアナウンスによる〝死体発見通知〟はなく、静寂としたゲームではあるが止まる事なく現在も進行されている。


 プレイヤーを閉じ込めるゲームの舞台となるこの建物内の5日間は静かであった。5日間で大きな動きを見せたのはゲームを進行している〝中の世界〟ではなく〝外の世界〟。


 釈快晴の指示の元、プレイヤー回収の仕上げに取り掛かっていた〝アメダマ〟を返り討ちにしたのは……


 先ほど死体発見通知の被害者の名前に書かれた堂島快跳の実の父親である堂島和雄を中心に動いているグループ〝ムチカク〟


 ある条件を満たして、ムチカク(堂島和雄サイド)がプレイヤー回収担当のアメダマ(博打組サイド)の計画を〝ぶち壊した〟のだ。


 ムチカクの指揮をとる堂島和雄と共に逃走していた舞園創が思わぬ切り札を使い、彼と手を組んだ〝ある人物〟が大勢の人間を集め、プレイヤー回収車を破壊して和雄と創の2人を救出した状況。


 現場に居るアメダマサイドの人間が釈快晴に通信機で状況を説明する。


「舞園と堂島を逃がしただと!?」


 ここで一旦釈快晴の笑みが消える。


「――状況を説明しろ」


 舞園創サイドが動き出す! 第四十九話3/3へ→


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