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コロシタノダレ ~黒幕の脅威と地下学園脱出~  作者: まつだんご
―エピソードⅤ― 「特等席と魔獣の巣」
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第四十九話 『 静寂の五日間 』 1/3


 涙を流しているのは篠原すみれ


 時刻は14時40分。場所は魔獣の巣エリア内【謎の部屋】にて。特等席から篠原すみれの命を狙う大ピンチ時に見つけた避難場所。室内にはこれといった物が何一つ置いていない謎の一室。現在この部屋には夏男を含めた5人のプレイヤーが避難している状況。


 そして現在、爾来也伊吹・未来・青田向日葵の3名と逸れてしまっている。


 そんな中で篠原すみれが握っていたドン釈の正体と深く繋がる話を聞かされるプレイヤー達。そして博打組トップの本名とその正体を知り、特等席に潜んでいるのはディーラーであると推理してみせる篠原すみれ。


 他にも逸れてしまった時に起きた出来事や不審な点、分かった点等を互いに情報交換する。


 亀谷の死体を発見した夏男らは、篠原すみれに避けては通れない真実を説明する義務がある。涙を流しながら話を聞いていた篠原すみれは、ただいま黙ったまま俯いている状態。


 夏男がすみれに「すまない」と言ったのが最後。室内は約10分間の沈黙を続ける事になる。


 そして10分後……


「なぁ六条」


 夏男が六条を呼ぶが彼女はこちらを見向きもしない。どうやら亀谷が殺害された瞬間の出来事について何も答えたくないよう。ここで無理矢理聞いてしまう手もあるが状況も状況。


 ここはみんなで協力して、これ以上犠牲者を出さずに此処から抜け出すのが第一優先だと考える夏男は彼女の事情聴取を保留にする。


 少しの沈黙の後で電田龍治が立ち上がる。


「外の様子を見てみる」


 敵に動きがない以上こちらから動いて此処から離れる必要がある。謎の部屋に避難してから既に20分が経過している。確かに此処に留まるのは危険だろう。


 電田が外の様子を確かめようとドアノブに手を回しかけた? 回しかけた?


「あ、あれドアノブがない」


 仕方ないので両手でドアを押してみる。しかしびくともしない。


「あれ、これどうやって開けるんだ?」


 電田龍治の不器用っぷりを見かねた夏男は立ち上がって出口ドアの前まで歩く。


「ったく何やってんだよチャラコック。どいてみろ」


「アン!? 誰がチャラチャラしてるって?」


「お前だよ。ん、あれ?」


 今度は夏男がドアを押してみる。が、びくともしない。


「ボサっと突っ立ってないでお前も手伝うんだよ」


「おいチンチクリン。てめぇあんまり調子抜かした事ばかり言ってると張り倒すぞこら」


「良いから早くそっち押してくんない?」


 男が2人掛かりで押してもぴくりとも動かない出口の扉。一体どういう事だろうか。


「まさかこれって」


 他のプレイヤーも嫌な未来が頭に過ぎったのか、出口ドアを力ずくで押したり蹴飛ばしたりしてみるが出口の扉が開く事はない。そう、この部屋は【閉ざされた間】と呼ばれるトラップルームであるからだ。


「ちょっと待ってくれ。こんな展開望んでいない。待ってくれ、開け、開けよ!!」


 発狂し出したのは六条冬姫。続いて夏男が壁を思い切り殴る。開けてくれと連呼するのは電田龍治。


 彼らは脱出不可能のトラップルームに閉じ込められてしまったのだ。此処に入った者は脱出不可能であり、そのため隠しカメラを配置する意味をもたない。すなわちこの部屋に隠しカメラは存在しない。つまり、この部屋でいくら叫ぼうが助けを呼ぼうが誰の耳にも届かないという状況だ。


 彼らを画面越しで監視していた人物が不気味に微笑みながら〝ゲームオーバー〟を告げる。


 場面を移動

――――――――――――――――――――――――

 エスケープルート情報エリア【特等席】


 特等席とはエスケープルート内ブラックルームにて配布されていた特別アイテムであり、手にした者はエスケープルート内最深【情報エリア】に送られ、安全な場所を確保してくれる手筈。


 特等席内にはエスケープルートを監視出来るよう、全ての隠しカメラに映る情報を手にする事が出来る他、建物内に設置された拳銃・麻痺針・空気砲・魔獣開放・ルート操作など様々な特権を得る事が出来、それらはこの特等席と呼ばれる一室で全て行う事が出来る。


 室内には幾つもの監視カメラ映像モニターやボタンが配置されている。恐らく篠原すみれの右足に麻痺針を撃ったのも、ルートを操作していたのも、魔獣を開放していたのもこの部屋に居る男の仕業であろう。


 夏男ら5人がトラップルートから抜け出す事が出来ないのを監視カメラ越しで確認した男は、薄暗い部屋で不気味に微笑む。男の右手には何者かと繋がった通信機を持っている。


「終わったぞ……ああ、連中は終わった。今頃トラップルーム内で怒り狂っているだろう。思ったより呆気なかった」


 左手にも何か持っている……ってこれは人? 薄暗くてよく見えないが人の顔をチラつかせる。その人物はトランプ組トップの男〝谷雅司〟の顔面だ。しかしどういう訳か首から下がよく見えない。


「もう篠原すみれに利用価値はない。ああいうでしゃばった少女には苦しむだけ苦しんで餓死がお似合いだ。フフフフフ」


 通信機で何者かと話しながら殺害したトランプ〝谷雅司〟の斬られた首を左手に持ち、監視カメラに映るトラップルームを見て笑っている危険な男。この狂人の名は……


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 重要人物 シャク 快晴カイセイ(34)

 男性 身長199cm 体重72kg

 博打組最高司令官にして『旦那』と呼ばれる

 プレイヤーらを殺人ゲームへ招いた一角

 金髪と真っ赤なサングラス、高い身長が目立つ

 特等席アイテムを手にして脱出ルートを支配する

 部下にもつのは博打組4幹部とアメダマの一部

 ※18人目の被験者(初紹介・第二十五話初登場)

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「5日後だ。俺の合図でスマートリーに出来るだけプレイヤーを大広間に集めさせろ。これからパタパタと死人通知が届く際の奴らの顔を眺めていたい。それと……」


 谷雅司の顔面を出口へ投げ捨てる釈。


「此処が臭くて敵わん。事が済んだら片付けろ」


 何かを思い出したのか、感情が高ぶる釈が通信機を強く握り締める。


「ゲームは舞園創と堂島和雄が到着した頃が最高の盛り上がり時だ。その事をよーく覚えておくんだな。フフフフフ」


 場面を移動

――――――――――――――――――――――――

 エスケープルート【テストゾーン】中間地点


 此処は魔獣の巣の更に奥のエリア、テストゾーンと呼ばれる場所。


 ピエロ仮面を着用した人物ら5人が、脱出ルート出口の扉から引き返す日本人離れした顔立ちの〝茶髪の男〟を囲んでいる状況。ピエロ仮面の武器は長剣一本ずつ。対する茶髪の男は〝魔法の杖〟のような物を両手に持っている。


 ピエロらが茶髪に何度も警告をする。


「大人しく貴様の手にする〝バメガンテ〟をこちらに返しなさい。そのアイテムは〝プレイヤーポイント3〟を消費した者だけが手にする事を許された武器だ!」


「これ以上我々の命令を無視するようであれば容赦はしない。上から貴様の殺害許可が出ているんだぞ!」


「5対1だ。観念しろ!」


 茶髪の男が閉ざしていた口を静かに開ける。


「だったら何でぃ。こいつをあんたらに渡しさえすれば此処から出してくれると言いなさんのかい?」


「ふざけるな! お前らプレイヤーが自力で抜け出す事に意味がある実験なのだ。我々に希望をもつな!」


「だったらこいつを渡す訳にはいかないんでぇ。あんたらがその気であれば、こっちは迎え撃つ覚悟でやらせて貰おう」


「話にならんな。お前ら、この男の生死は問わん。討てー!」


 茶髪の男を囲う5人のピエロ仮面が一斉に男に向かって走り出した。と同時にブラックルームから盗み取った魔法の杖〝バメガンテ〟を強く握り締めて〝呪文を唱え始める〟茶髪の男。


「シト/レツカ/シンマ/キフォル/オベリスク……」


 呪文を唱える際に閉じていた両目を〝カッ〟と見開いた茶髪の男。呪文を唱え終えた次の瞬間!


 場面を移動

――――――――――――――――――――――――

 エスケープルート【PPP】入り口付近


 逸れてしまった夏男らを捜しに1人でPPP入り口付近まで引き返したのは爾来也伊吹。息を切らして走り回っている中で、一度夏男らの閉じ込められているトラップルームを発見し、開けようと試みるがどうやっても開かなかった。


 人がいないか何度もそれぞれの名前を呼んでみるが反応はない。ドアにはよく分からない電子ロックの機会が取り付けられているが、暗証番号形式であった。暗証番号が分からない爾来也は諦めて他の場所を捜していた。


 しかし夏男ら5人は、この暗証番号が取り付けられたトラップルーム内に居る。完全防音で声が届かなかった訳だが、爾来也が扉の前に居る瞬間にも室内で何度も助けを呼んでいたのだ。


 何とかして爾来也が5人がトラップルームに閉じ込められている事に気付いて暗証番号を知る方法はないだろうか。


 ボロボロになった身体でひたすら走っている爾来也。道中で自分の脱ぎ捨てた着物を見つけ、同時に見つけたのは両脚を切断された金髪の怪物の無残な死体であった。


 金髪の怪物は大量出血で死亡してしまったようだ。


 死んでしまった怪物から目を逸らして脱ぎ捨ててあった着物を着直す爾来也。傍に落ちていた日本刀ソハヤノツルギも見つけ、腰にぶら下げてある鞘に刀を納める。


「頼む。皆、無事であってくれ」


 彼女の捜索は続く。


 一方その頃、青田向日葵と未来は魔獣の巣入り口付近まで引き返していた。


「どうしましょう〝未来様〟」


「ん、あのさ。君と僕は初対面だったよね? その未来様って呼び方やめてくれないかな」


「すみません」


「うん。それより君は運が良かったね。最後まで僕の傍を離れなかった君の判断は正しいよ」


「え?」


「実は此処から出る方法を知ってるんだ。勿論脱出ルートから抜け出せるだけであって、この建物自体から抜け出せる訳じゃないんだけどね。君はどうする、エスケープルートは諦めるのかい?」


 協調性のない未来が、共に行動してきた青田向日葵に微かな希望の光に照らされた〝奥の手〟を教えようとしている。此処までついてきて、これからもついて行こうとしている青田向日葵は、未来という人物に何か個人的な思い入れでもあるのか?


 第四十九話 2/3へつづく→


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