日常の中に潜むきらめきと、夜に広がる果てしない幻想。
第16話は「本屋と螺旋の塔」をテーマに、朝と夜のふたつの景色を巡ります。
朝の光に照らされた小さな本屋。狭い通路にずらりと並ぶ雑誌や漫画の背表紙が光を反射し、わずかに埃の舞う空気まできらめいて見えた。彼女は棚の間で笑顔を浮かべ、こちらに向かって小さく手を振る。
「今日はどんな物語を選ぶ?」
無邪気な声に胸が揺れる。僕は何気なく手にした一冊を開き、その瞬間、現実の輪郭がすっと溶けるのを感じた。ページの向こうに広がる景色は、まだ見ぬ世界への入り口。日常の奥に潜む物語の扉を、彼女と一緒に開いている気がした。
