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ガールズクロスライン 第7話(夜) 小道と海底都市
目を開けたとき、僕は青い深淵に包まれていた。
透き通る水の向こうに、巨大な塔の都市が立ち上がり、無数の光が魚の群れのように瞬いている。
彼女がこちらを振り返り、小さく囁いた。
「聞こえる? この街は、海の心臓で動いてるんだって」
泡がはじける音、遠くで響く鯨の鳴き声。
「だからね、ここでは嘘をついちゃいけない。正直な気持ちだけが、この街を支えてるから」
その言葉は水よりも澄みきって、胸の奥まで届いた。
朝に見せた笑顔の輝きと、今の静かな眼差し。その両方が彼女の真実であり、僕の世界をつなぐ境界線だった。
お読みいただきありがとうございます!
今回は「犬と走る朝の小道」と「深海に眠る都市」を行き来するお話でした。
次回もまた、新しい境界線でお会いしましょう。




