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ガールズクロスライン 第6話(朝)ゴールと祝祭の空
朝と夜
二つの時間を行き来する物語「ガールズクロスライン」第6話です。
今回は、サッカーグラウンドでの一瞬の閃光と、祝祭の都を舞う気球の空を描きます。
真夏の陽射しの下、グラウンドの芝生が眩しく揺れていた。ホイッスルが響いた瞬間、彼女の身体は風より速く駆け出す。
「見ててよ。わたしのシュート、空まで届かせるから!」
ボールに触れた足先が閃光を生み、雷のような軌跡がゴールへと走った。
その姿はただのプレイヤーじゃない。観客席のざわめきも、蝉の鳴き声も、すべてが彼女に喝采を送っているように聞こえた。
汗に濡れた頬、真剣な瞳。それなのに口元は楽しげで、まるでこの試合そのものが彼女の舞台の一部だと示している。
ゴールネットが震え、歓声が爆発する。彼女は振り返りざま、僕にウィンクを飛ばした。
「ね? 空の扉、ちょっと開いたでしょ」
その言葉に、不思議な胸騒ぎが走った。




