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ガールズクロスライン 第5話(夜)路地裏と星の艦隊
目を開けた瞬間、世界は一変していた。切り立った山岳都市の上空に、無数の艦影が浮かんでいたのだ。
漆黒の巨体がゆっくりと旋回し、雲間から差す光を鋼の船体に反射させる。その光景はまるで空そのものが劇場となり、艦隊が幕を上げているかのようだった。
彼女は断崖に立ち、両手を大きく広げて叫ぶ。
「見て! これ全部、わたしたちのステージなんだよ!」
星々の艦隊が照明のように輝き、山の斜面に巨大な影を落とす。
「観客は、数えきれないほどの星。だから——恥ずかしがらなくていいの」
その言葉に導かれるように、僕は彼女の隣に立った。
朝に見せたピースサインの笑顔が、今は星の艦隊さえ味方につける光に変わっていた。
お読みいただきありがとうございます!
今回は「夏の路地裏」と「星の艦隊が降り注ぐ山岳都市」を行き来するお話でした。
次回もまた、新しい朝と夜の境界線でお会いしましょう。




