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ショートショート5月~

後ろには

作者: たかさば
掲載日:2020/05/08

初めて見たのは、いつの日だったか。


とても暑い日、あなたがまだ、生まれた年の話よ。


あなた、六月生まれでしょう。


その年の八月は、とても暑くてね。


私は土間で、洗濯をしていたんだけれど、あなたを居間に置きっぱなしにしていたのよね。


まだ二ヶ月、寝返りもうてない時期だったから、寝ているうちに洗濯をしようと思ってね。


ベビー布団に寝かせて、洗濯を終えて、居間をのぞいたの。


あのね、おおばあちゃまがね、あなたを扇いでいたのよ。


おおばあちゃまはね、あなたが生まれる一か月前に亡くなったの。


とても、あなたが生まれるのを楽しみにしていてのだけれど、急にね。


暑い日だったし、お盆も近かったし。


あなたを扇ぎに来てたんでしょうね。


それが、一回目よ。




次に見たのはね、あなたが小学三年生の頃だったかしら。


あの日もね、とても暑かったのよ。


あの頃は家も建て替えていて、クーラーがついていたんだけどね。


お父さんが寒がりでしょう。


クーラー切って寝てたんだけど、熱くて目が覚めちゃって。


クーラー付けようと思って、リモコンのところに行ったらね、女の子がいたの。


サスペンダー付きの、古臭い赤いスカートをはいた女の子がね、私を止めるの。


結局、クーラーを入れずに寝たんだけど、なんだったのかしら。


それ以来、一度も見てないけれど、アレは、座敷童だったのかしらね。




母親が聞かせてくれた、昔話。


ああ、そういうことが、あったんだ。


私は振り返らず、おおばあちゃまの気配を感じて、フフッと笑う。


私は振り返らず、母親の子供だった時に手放した子供らしさを感じて、フフッと笑う。



私の後ろには、二人がいるもの。


ずっと、いるけれど、気付いたらいけないかなって思ってね。



おおばあちゃまは、いつも私を心配そうに、見守っている。


あと一ヶ月で会えたのに。

そういう気持ちが、ここに残って、今も私と、共にある。



母の子供だった時に手放した子供らしさは、いつもニコニコして私の周りをうろついている。


幼い日の母親は、その母親の理不尽な身勝手で、子供らしさを手放さなければならなかった。

その手放した子供らしさは、私が生まれた時に、成長する私と共にあることで喜びを得たいと願った。




私が大人になっても、私の後ろには。

二人がいるのを知っている。


私がこの身を、離れたときに。


私はあなたたちを知っていたよと言って、まっすぐ目を見つめて、お話しできたらいいなって、思っているの。


今はまだ、私、気付かないふり、しておくね。


もう少し、私と一緒に、私の人生、楽しもうね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 事情が分かってるならほほえましいよね。 何か分からないものが自分の後ろに2人も憑いてると思うと怖くて夜も寝れなくなっちゃいそうだし。
[良い点] ああ、さしきわらし描きたいですね。 [気になる点] そしておばあちゃんブームは続く、と。
2020/05/08 21:38 退会済み
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