抜錨
「狙撃員!橋の重機関銃を黙らせろ!!」
現状最大の脅威である重機関銃を沈黙させるため、狙撃を試みる。
暗闇の中の狙撃となるため照明弾でも上げたいが、それではこちらの位置がばれてしまう。
仕方なく、大きな発砲炎を頼りに数発発砲する。
敵の機銃手を仕留めたらしく、重機関銃が沈黙する。
だが、武装偵察大隊にさらなる脅威が近づいてきた。
M2A4装甲車だ。37ミリ砲と7.62ミリ機銃5丁を有するこの装甲車は、戦車相手なら敵ではないが、歩兵からしたら大きな脅威だ。
だが、彼らは敵戦車との接敵を想定し、20式対戦車噴進弾を装備していた。
これは、対戦車用に研究・開発されたロケット弾で、至近距離で撃てば最大貫徹100ミリを誇る強力な対戦車火器だ。
隊員が狙いを定め引き金を引く。
紅い尾を引いて飛んで行ったロケット弾は敵装甲車を直撃。爆発四散した。
頼みの車両が撃破された米軍は徐々に撤退を開始。
追撃する部隊と橋の爆破作業をする部隊に別れ、作戦行動を開始した。
ドオオオオオオオン!!!
轟音とともに橋は崩落した。
武装偵察大隊はその任務を完遂したのだ。
これによって米本土攻撃作戦が第二段階に進んだ。
「目標施設の破壊完了セリ」
この上ない吉報がハワイの作戦司令部に届いた。
「やってくれたか・・・ありがとう・・・」
山本五十六は一度は止まりかけた心臓の鼓動が早まるの感じた。
翌朝、ハワイに集結している輸送船団に物資と兵員の積み込みが開始された。
輸送船には最新鋭の戦車である4式中戦車チトや五式中戦車チリ、さらには五式駆逐戦車ホリが積み込まれた。
米軍の主力戦車であるシャーマンやカリオペの攻撃をはじき返し、なおかつ敵装甲を易々と貫徹する力を秘めた彼ら総勢2000両が投入される。
さらには精鋭部隊である海軍陸戦隊50万、歩兵170万の計220万人が投入される大規模な作戦となる。
またハワイから飛び立つ戦略爆撃機800機と艦戦、艦爆、艦攻からなる近接航空支援400機が投入される。
車両3000両、艦艇700隻(輸送船、上陸用舟艇含む)航空機1200機、兵員300万人が投入される作戦は歴史上はじめてだろう。
大日本帝国が西海岸から攻撃するのと同時に、ドイツ第三帝国がアメリカ東海岸からも上陸する。
米軍は二正面作戦を強いられ兵力は分散するだろう。
ようやくこの戦争に終止符を打つ日が来たのだ。
1945年6月5日、ハワイから輸送船団と空母機動部隊が抜錨。
アメリカ西海岸を目指した。
次回、遂に米本土上陸作戦が決行されます。
この大戦に終止符は打たれるのか、それとも新たな争いの火種となるのか・・・




