港湾破壊
攻撃隊はレーダーによる探知を防ぐため、超低高度で軍港に侵入した。
軍港上空に侵入した攻撃隊はすぐに標的を見つけた。
ジェラルドフォード級空母。
周囲の戦艦や巡洋艦と比べてもやはりでかい。
ー攻撃隊晴嵐 一番機 高野中尉ー
「敵空母発見!母艦に打電 攻撃成功セリ!」
晴嵐の爆弾倉には酸素魚雷が二本詰まっている。
敵の空母は二隻、攻撃隊は全15機。
内10機は雷装、5機は爆装だ。
「雷撃隊は5機ずつ敵空母にかかれ! 残りはドッグと燃料タンクを破壊しろ、頼んだぞ!!」
1番機は敵空母を正面に捉えた。
「機長、コース、距離よし!!」
「投雷せよ!!」 爆弾層から二本の魚雷が切り離される。
70ノットの高速で敵空母に突き刺さる。
敵空母の横っ腹に10本の大きな水柱が立ち上がる。
「敵襲!敵襲!!」
攻撃に気づいた米兵が慌てて配置につく。
だが、頼みの綱であるジェラルドフォードは既に沈み始めている。
もう一隻のジェラルドフォード級は機関を始動させたらしく、何とか港湾から脱出しようとしている。
「第二小隊、逃がすな!!」
すぐに晴嵐が追いかける。
距離が一キロを切ったところで次々に投雷。
内2本が艦尾に命中しスクリューが大破。舵のコントロールができなくなったジェラルドフォード級は座礁した。
港を封鎖する、絶妙な位置に。
だが、沈んではいない。
船体の四方についた銃座が射撃を始める。
運悪く、ボフォース機関砲の弾が4番機の主翼に直撃。
墜落は免れたが、燃料が漏れてしまっている。
眼下では爆装の晴嵐が燃料タンクやドッグを空爆している。
「この燃料では帰れそうにないな・・・」
帰れないと悟った4番機は破壊されていない燃料タンクを見つけた。
「せめて死ぬなら・・・刺し違えてやる!!」
4番機は帰路についた編隊から離脱、燃料タンクに突っ込み、自爆した。
その爆炎はどの晴嵐のコックピットからも視認できた。
一機の晴嵐の犠牲と引き換えに、ジェラルドフォード級空母2隻を戦闘不能にし、港湾施設を完全に破壊した。
軍港への攻撃成功を知った大本営はアメリカ本土攻撃作戦の第二段階に入った。
アメリカ本土上空13000メートル。
超重爆撃機富嶽の三機編隊が飛んでいる。
目的は爆撃ではない。
広い機内には爆弾ではなく兵士が乗っている。
海軍陸戦隊武装偵察大隊だ。
精鋭中の精鋭と呼ばれる彼らは高高度からのパラシュート降下やサバイバルスキルなど通常の兵士の何倍もの厳しい訓練をくぐりぬけている。
三機合わせて300人。
目標が西海岸の敵砲台や航空基地の破壊工作だ。
「総員、降下用意!降下降下降下!!!」
富嶽の扉が開き、酸素マスクをつけた兵士が次々に飛び降りる。
すぐにパラシュートが開いた。
隠密性を最大限高めるため、白いパラシュートは真っ黒に塗られている。
敵レーダーを回避すべく富嶽は急旋回してハワイに戻る。
隊員はそれぞれの目標地点に到達し、百式機関短銃を背嚢から取り出す。
「作戦開始!!」
隊長からの下命を受けた隊員はまず沿岸に配備されてる固定砲の破壊を開始した。
武装偵察大隊は今の特殊作戦群のような組織ですね。




