カンストした敏捷度?
洞窟の内部には、やはり重苦しい雰囲気が漂っていた。
湿った空気が鼻を突きあげてきて、なんとなくジメジメした空気だな。ところどころに設置されている蝋燭しか光源がないし、視界が確保しにくい。
――しかも。
「あ、あれは……」
よく目を凝らすと、見覚えのあるスカーフが落ちているのが見て取れる。
やけに見覚えのある物だったので、手に取ってみると――
「こ、これは……⁉」
驚くべきことに、俺の師にして最強剣士――ルミーネ・カドナールの名が刺繍されていたのだ。
どうりで見覚えのある物だと思ったら、まさか師匠の物だったとは……
「え……それって……」
同じくスカーフを覗き込んだメルが、思いっきり目を見開く。
「ルミーネさんもこの洞窟に入ったってこと……⁉ でも、いったいどうして……」
「いや……わからない……」
俺たちと同じく、この洞窟の怪しさを感じ取ったのだろうか。ユキナと同じく、この洞窟を制圧しにきたのだろうか。
それとも、まさか……
「いや。考えるのはよそう」
俺は小声で呟きながら、スカーフを懐にしまう。
師匠はスウォード王国でも最強クラスの剣士だ。いくら敵が得体の知れない連中とはいえ、滅多なことを考えるものではない。
と。
「…………っ!」
俺はふいに殺気を感じ、咄嗟に剣を抜いた。
「くるぞ! 二人とも、下がれ!」
俺がそう叫んだ途端。
カキィィィィィィィン! と。
俺が構えた剣に、鋭い剣撃が浴びせられた。
「な、なんだと……⁉」
襲撃者は驚きの声を発しつつ、近くの地面に着地する。
――黒ずくめのローブを羽織り、両手に短剣を携えた男。
間違いない。先日メルを襲っていた男の仲間だな。
「カンストした我が敏捷度を上回るとは……! 貴様、いったい何者だ‼」
「は……? カンスト? 敏捷度……?」
なんだ。いったいなにを言っている。
気になるところではあったが、いまはそれを問いただしている場合ではない。メルの《専属護衛》として、そしてミルキアと大事な約束を交わした身として。
ここは絶対に、負けてはいられない……!
「ルシオ……!」
「が、頑張ってくださいっ!」
女性陣の声援を受け、俺は厳しい視線を男に向ける。
「答えろ。俺たちがここに来る前に……四人組がきたはずだな」
「……ふん。それを聞いてどうする」
「それに剣聖ルミーネも最近ここに来たはずだ。おまえたちが知っていることを……すべて話せ」
「くく……あははは」
なにが面白いのか、男が額に手をあてがい、狂気じみた笑みを浮かべる。
「なぁに、簡単なことだ。たとえ最強と呼ばれている者であろうとも……敏捷度が9999にカンストした我ら《神速の月影》にかかれば、塵芥も同然ということよ!」
「《神速の月影》……⁉」
その言葉に、メルが大きく目を見開く。
なんだ。俺にはよくわからないが、メルはなにか知っていそうだな。
「クク……特に剣聖ルミーネは最高だったぜぇ? スウォード王国では最強なはずの剣士サマが、なすすべもなく俺たちに蹂躙されたんだからなぁ!」
「き、貴様……!」
許せない。絶対に。
かつて俺を心身ともに鍛え上げてくれたルミーネ師匠を、こいつらごときが痛めつけるなんて……!
俺は怒りとともに、黒ずくめの男と向かい合う。
「《神速の月影》だかなんだか知らないが……ただでは許さんぞ。神現一刀流の真の強さを思い知れ!」
「ふん、愚か者め。たった一度私の攻撃を凌いだくらいで――調子に乗るな!」
そう叫び、男は再び突進をかましてくる。
――が、遅い。
敏捷度9999だかなんだか知らないが、正直、いまの俺にはノロマにしか見えなかった。
「スキル発動――《全力疾走》!」
俺はそう叫ぶと、男よりさらに速いスピードでもって疾駆。
「な、なにっ……‼」
男が目を見開いたその隙に、その両足めがけて最高の一撃を見舞うのだった。
【【 重要なお知らせ 】】
いつもお読みくださり、本当にありがとうございます!
現在ハイファンタジー5位で、すこし失速するのが早く……
私もリアルが忙しいため、なかなか執筆の時間が取りにくいですが、なんとか睡眠時間を削ってでも書いていきます。
ですから、どうか……【評価】と【ブックマーク登録】で応援していただけないでしょうかm(_ _)m
※評価はページ下部の「☆☆☆☆☆」をタップorクリックで行えます。
たった数秒の操作で終わることですが、これがモチベーションを大きく左右するものでして……
私もできるだけ、時間を見つけて書いていきます。
良い結果を出せるように頑張っていきます。
星5つじゃなくても、素直に思ったままを評価していただけるだけでも嬉しいです。
どうぞ、よろしくお願い致します!




