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変な二人

「あそこが……連中の拠点です」


 ミルキアの小屋から遠く離れた、草原地帯。

 そこにぽつんと屹立する洞窟を、俺たちは遠くから眺めていた。


 ――なるほど。たしかに嫌な気配がむんむん漂ってるな。


「どう、ルシオ。いる?」


 メルの問いかけに、俺はこくりと頷いた。


「ああ……いるな。相当な気配を感じる」


 その気配の正体が、例の《黒ずくめの男》なのかはわからない。

 だが、この妙に濁った気配は……いずれにせよ放っておけない場所だろう。


「す……すごいですね……ルシオ様」

 俺たちの会話を聞いていたミルキアが、大きく目を見開いた。

「この場所から、洞窟のなかのことがわかるんですか……?」


「ん? あ、ああ……。そうだな。これでも一応、神現一刀流をならってたし」


「そ、そうなんですか……!?」

 ぎょっとしたように目を見開くミルキア。

「しかも、え……と、《全力疾走》でしたっけ? めちゃくちゃ速いうえに、神現一刀流の使い手なんて……」


 おい、なぜか尊敬の眼差しで見つめられているんだが。


「やめてくれ。俺なんてたいした人間じゃないさ」


「そんなことないですよ。ルシオ様を追い出すなんて、さすがにログナー様も謎すぎるっていうか……」


「うんうん、ほんとにそう」


 メルまで同調しだしたので、会話に収拾がつかなくなってしまった。


 敵の拠点を前にしているってのに、この緊張感のなさはどうなっているんだか。


「それで」

 俺は遠くの洞窟に目を向け、無理やり話題を切り替えた。

「どうする? いったん引き返して、作戦を立て直すか?」


「うん……そうね。いきなり突撃するわけにもいかないし」


 敵にミルキアの家が勘付かれている以上、悠長なことはできないのが正直なところだ。


 だからここはいったん引き返して、俺だけでも突撃を仕掛けるべきだろう。さすがにあの場所に、メルやミルキアを連れていくわけにはいかない。


 と、そのときだった。


「あらぁ? あんたもしや、お姉ちゃんじゃな~~い?」


「え……?」


 いきなり投げかけられた声に、ミルキアが目を丸くする。

 その際、メルが帽子を目深に被り、正体を隠したのはさすがの判断だった。


「あ……。ユキナ……」


「あっは♪ 誰かと思ったら、ほんとにお姉ちゃんじゃない♪」


 そう言って現れたのは――計4人の剣士たち。


 なかでもリーダー格っぽいのが、いまミルキアに嫌みったらしく話しかけている女だろうか。長い金髪を腰のあたりまで伸ばし、いかにも「美魔女」的な雰囲気を醸し出している。


 間違いない。この女は――


「ユキナ・ルーフェス卿。こんなところでなにを」


「あらあら。あなたは」

 ミルキアの双子の姉――ユキナ・ルーフェスは、俺の顔を見るなりぷぷっと噴き出した。

「ぷぷっ。あーっはっはっは! お姉ちゃん! いったいどこに行ってると思ったら……まさか外れスキル所持者同士でくっついてるなんてね!」


「ププ……」

「クスクス……」


 取り巻きらしき二人の女剣士たちも、ユキナにつられて笑っている。


 ――この光景。

 ――この嫌な感じ。


 俺もさんざん味わってきた、外れスキル所持者に対する迫害だ。


 ぎゅっと。

 怖くなったのか、俺の後ろで裾をぎゅっと掴んでくるミルキア。よほど怖いのか、身体をぶるぶる震わせてしまっている。


 一応、ミルキアのほうが姉にあたるそうだが……

 外れスキルを授かったせいで、立場が明らかに逆転してしまっているな。

 

「あんたたち、こんなところでなにをしてるんだ。しかもそんな大勢で」


 俺は若干の怒りを込めて、ユキナに問いかけるが……


「んふ♪ ルシオ・アルボレオ卿。あなたが良いスキルを授かっていたら話は別ですが……いまはもう、私のほうが立場は上。そんな口調で話されても困りますわね♪」


「…………」


 こりゃあ駄目だ。

 まるで話にならない。


 ――ユキナ・ルーフェス。所持スキルはなんと《薔薇の剣姫》。


 字面の通り、剣術に特化したスキルであり――凄腕の剣士として活躍していると聞いたことがある。


 そして……


「ユキナの言う通りだ。口を慎みたまえ、ルシオ・アルボレオ」


 そう言ってきたのは、カーシス・ヴェステリア伯爵家。

 聞いた話では彼も剣にまつわるスキルを授かり、ユキナと婚姻関係にあるという。


 ユキナ、カーシス、そして取り巻きの女剣士たち。


 この四人で、この地をぞろぞろ歩いていたわけだ。


「外れスキル所持者たる君にはわかるまい! 僕たちがこれから……どんな崇高なる目的を達しようとしているか‼」


「は? 崇高なる目的?」


「しかり! あの洞窟にはなんと、ひじょ~~に怪しげな連中が出入りしているという噂があってね! そいつらを拘束し、そして罪のない人民の命を守る……。それが私たちの目的なのだよ!!」


「まあ……。カーシスがそこまで民のことを想っていたなんて……なんて優しいのかしら……!」


「もちろんだよユキナ。そして僕らの名を世界中に知らしめ、二人だけで優雅な結婚生活を送っていこうじゃないか……!」


「ああ、カーシス……! 素敵‼」


 おいおい。

 いったいなにを見させられているんだ、俺たちは。


「そういうわけだルシオ君。外れスキル所持者として、きみは僕に媚びを売る方法でも考えておくんだね。あーっはっはっはっは!」


 という奇妙な笑い声を残して、四人は洞窟のなかに行ってしまった。

【【 重要なお知らせ 】】


いつもお読みくださり、本当にありがとうございます!


現在ハイファンタジー5位で、すこし失速するのが早く……


私もリアルが忙しいため、なかなか執筆の時間が取りにくいですが、なんとか睡眠時間を削ってでも書いていきます。


【評価】と【ブックマーク登録】で応援していただけないでしょうかm(_ _)m


※評価はページ下部の「☆☆☆☆☆」をタップorクリックで行えます。


たった数秒の操作で終わることですが、これがモチベーションを大きく左右するものでして……


私もできるだけ、時間を見つけて書いていきます。


良い結果を出せるように頑張っていきます。


星5つじゃなくても、素直に思ったままを評価していただけるだけでも嬉しいです。


どうぞ、よろしくお願い致します!

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