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不人気と言われようともデバッファーを極める ~攻撃スキルが無くても戦えます~  作者: 功刀


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黄金蝶探し④

「一人じゃない……?」


 よく見れば、巨大蜘蛛と渡り合っている重装備の男のさらに後方、瓦礫の陰になった位置に、もう一つの人影があった。

 それは深いスリットの入った紫色のローブを纏った、グラマラスな女性だった。

 彼女は短い杖を振り、的確なタイミングで支援スキルや攻撃スキルを放ち、前線の男を援護している。


「なるほど、タンクと魔法職のペアか」


 俺たちが近づいていくと、後衛の女性がこちらに気づき、警戒しつつも数歩近づいてきた。

 整った顔立ちに、口元のほくろが印象的な、大人の色香を漂わせる女性だ。


「あら、新手の方? ……襲ってくる様子ではなさそうね」

「ああ。通りがかりだ。加勢しようかと思ってな」


 彼女は少し驚いたように目を丸くし、それからふわりと笑みを浮かべた。


「それは頼もしいわね。見ての通り、この状況……二人だけじゃジリ貧なのよ」

「だろうな。あのデカいボスを二人だけで相手にするなんて無茶だ。逃げた方が賢明だと思うけど?」

「ええ、普通ならそうするわ。でもね、逃げるわけにはいかない理由があるのよ。……あれをご覧なさい」


 そういって優雅な仕草でスッとある方向を指差した。

 俺たちは指差した先――巨大蜘蛛の背後にある、木々の間に張られた巨大な蜘蛛の巣を見た。

 そして息を呑んだ。


「あっ! あれは……!!」


 サクラが叫ぶ。

 粘着質の糸に絡め取られ、身動きが取れなくなっているのは、太陽の光を受けて眩いばかりに輝く、二匹の蝶だった。


「黄金蝶……!?  しかも二匹も!」


 テレサが興奮気味に声を上げる。


「……なるほど、そういうことか」


 2人はあの蜘蛛の巣に引っかかっている黄金蝶を見つけた。だが、回収しようとしたところに主であるタランチュラが現れた、といったところか。

 目の前にお宝がある以上、引くに引けない状況というわけだ。


「ヌウウッ……! なかなか硬いな、貴様!」


 前線の方から、重苦しい金属音と共に、男の野太い声が聞こえてきた。

 タランチュラの鋭利な爪を大盾で受け止め、男が歯を食いしばっている。全身を覆う重厚なフルプレートアーマーは重そうだが、その立ち姿は城壁のように揺るがない。


「そこの御仁たち! できれば手を貸してくれんか!」


 男は蜘蛛の猛攻を耐え凌ぎながら、俺たちに向かって叫んだ。その口調は、古風な騎士のようだった。


「吾輩はガルフォード! そしてこっちは連れのマリアだ! 見ての通り、獲物はあの巣にかかっておる「黄金蝶」二匹!」


 ガルフォードと名乗った男は、盾で蜘蛛を押し返しながら提案を続ける。


「吾輩らだけでは、奴を倒して回収する前に力が尽きる! だが、貴殿らが加勢してくれるなら勝機はある! 報酬は山分けだ! 二匹いるゆえ、一匹ずつ分け合おうではないか! どうだ!?」


 俺たち『トライ・ジョーカー』は、すでに人数不足ボーナスで「2ポイント」を持っている。ここで1匹手に入れれば、合計3ポイント。序盤の成果としては十分すぎる。

 それにもし今から彼らを見殺しにして、その後で俺たちだけであの蜘蛛と戦うリスクを考えれば、共闘は最も合理的かつ安全な策だ。


 俺はテレサとサクラを見た。二人は既に武器を構え、やる気満々で頷いている。


「商談成立だ、ガルフォードさん!」


 杖を掲げ叫び返した。


「俺たちは『トライ・ジョーカー』! その提案、乗った!」

「感謝する! では、頼んだぞ!」


 豪快に笑うガルフォードの声に応えるように、俺はスキルを発動させた。


「テレサ、サクラ、配置につけ! 俺が合図したら一気に畳みかけるぞ!」

「了解よ!」

「はいっ!」


 臨時パーティ、結成。

 俺たち3人と、ガルフォードとマリアの2人。

 計5人による、巨大蜘蛛討伐戦が始まった。

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