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不人気と言われようともデバッファーを極める ~攻撃スキルが無くても戦えます~  作者: 功刀


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テレサの提案①

「やっぱりガイっちだ! やほー!」


 手をヒラヒラさせながら近づいてくるテレサ。


「お。テレサか。奇遇だな」

「見覚えのある姿があったからつい声かけちゃった。昨日はごめんねー。変なことに巻き込んじゃって」

「気にしてないよ。俺もいい経験になったし」

「この恩は絶対返すわ。ガイっちもあたしにしてほしい事があったら遠慮なく言ってね。いつでも協力するからさ」


 そんなやり取りをしていると、隣にいるサクラが密着しそうなぐらい近寄って耳打ちしてきた。


「ガイ君の知り合い?」

「ッ! あ、そっか。サクラは初対面だったな」


 目の前にサクラの顔があって動揺しそうになったが、何とか耐えることができた。

 というか距離感バグってないかこの子……


「ん? そっちの人はガイっちの彼女だったり?」

「へ?」

「か、か、彼女!? ち、ちちち違うよぉ! 私はガイ君の彼女とかじゃないよぉ!」

「そうなの? 見た感じ仲良さそうな雰囲気だし、そういう関係だと思ってさ」

「つーか変なこと言わないでくれ。俺は新規なんだからそんな早く彼女とかできるわけないだろうが……」

「あーそういやそうだったね。勘違いしてごめーん」


 悪気が無さそうな態度で謝ってくるテレサ。

 最初から違うと分かっててからかったんだろうな。そんな気がする。


「だからね、ガイ君とはそういう関係じゃなくてね、べ、別に特別な関係じゃなくて、友達というか、恩人というか、私なんかにもったいないぐらいすごい人だけど……」

「おーい。帰ってこいサクラ。本気で言ってたわけじゃないと思うぞ」

「え、そ、そうなの?」

「あはははは。面白いねこの子。珍しいタイプかも。名前はサクラって言うの?」

「は、はい……」

「んー…………」


 テレサはサクラをジロジロと見つめながら何かを考え始めた。

 しばらくそうしていたが、突然閃いたかのような表情をしてサクラに近づいた。


「よし! サクラだからサクっちね! あたしはテレサ! よろしくねサクっち!」

「サ、サクっち!? 私のこと?」

「うん。呼びやすいからサクっちのほうがいいかなって思って。嫌だった?」

「い、嫌というか、そういう呼ばれ方したこと無かったから……」

「じゃあ決まりね! よろしく! サクっち!」

「う、うん。よろしくね……」


 テレサがぐいぐい来るもんだから、サクラも困惑気味である。

 そういや俺の時も勝手に呼び名決められたっけか。気に入った相手に対してはこんな感じで愛称で呼びたい性格なんだろうな。


「んで、お二人さんは何してたの?」

「クエストでもやろうと思ってさ。クエスト掲示板を眺めてたんだよ。そんで丁度いいのがあったからサクラと一緒にやろうと思ってたところだ」

「あーそっか。この場所に居るってことはクエスト探しだもんね。なんのクエストやるの?」

「あれをやろうと思ってな。ビッグホーンの角集めるやつ」

「へ?」


 テレサが急に真顔になり、クエスト掲示板に顔を向けた。


「ん? どうした?」

「…………あー。あれかー…………。それ止めた方がいいよ」

「どうしてだ? 何か問題でもあるのか?」

「ビッグホーン狩りのやつでしょ? あれって有名な初心者殺しクエストなんだよねー」

「マジで?」

「レベルは20近くないと安定して狩れないと思うよ。ガイっちってまだレベル10ぐらいだよね? ちょーっと厳しいかなーって」


 やっぱり初心者にとって強敵だったのか。

 おかしいと思ったんだよな。NPCは推奨レベルは10とか言ってたけど、レベル10ぐらいでは太刀打ちできるような強さとは思えなかった。

 例えパーティを組んでいたとしても、あの猛突進を対処できなければダメージを与えることすら困難だ。


「ビッグホーンはね、その名の通り巨大な角を持ってるのよ。そんで巨大な角で何でも弾くのよ。近接武器も通らないし、かといって遠距離攻撃で仕掛けてもほとんど弾く。だからまともに攻撃が通らないのよね」


 そういやサクラが攻撃しようとした時も簡単に弾かれたっけか。鹿のくせに器用に角を動かして対抗してたもんな。


「まぁそもそもの話、あの突進を何とかしないとダメージを与えることすら難しいんだけどね! 動き早いからなかなか当たらないし、初心者にはまず無理なのよ」

「なるほどなー」

「あの突進もかなりダメージあるし。レベル10ぐらいだとまず耐えられないのよね。それなり装備揃えてレベルを上げないと耐えるのは無理だと思うよ。初心者には向いてないモンスターなのよ。だから初心者殺しのクエストってわけ」


 今までゴブリンとかを相手していたせいか、急に強くなった気がしたんだよな。

 それなりゲームをしてきた経験からして、初心者帯で挑める強さではないと感じていた。

 少なくともレベル10ぐらいで挑んでいい相手ではないはずだ。


「ね? やばいでしょ? だからそのクエストは止めた方がいいよ」

「ん-でもなぁ……。一回クリアしてるし、俺達なら行けると思うんだよな。サクラもそう思うよな?」

「うん。ガイ君と一緒ならもう一回クリアできると思う」

「へ……? ビッグホーン倒したことあるの……?」

「まぁね。つっても倒したのはサクラだけど」

「…………」


 今は倒すのに少し時間が掛かるが、その分経験値がおいしい。しかもドロップ品を5個集めたら金策にもなる。

 初心者には厳しい相手には間違いないが、それに見合っただけの見返りはあるんだよな。


「ほ……本当にあのクエストクリアしたことあるの……?」

「こんなことで嘘ついてどうする。なぁサクラ?」

「う、うん。ガイ君が手伝ってくれたお陰で私でも倒せたよ。動き止めてくれたから攻撃しやすかったし」

「あ、そっか! ガイっちはアースバインドが使えたんだっけ。だから突進対策できてたんだ」

「まぁね」


 アースバインドは初期スキルではあるが、意外と強力で重宝している。

 使いやすくて便利なんだよな。


「…………………………」

「テレサ? いきなり黙ってどうした?」


 さっきのように俺達を見つめながら考え事をしてるような様子のテレサ。

 時折うつむきながらブツブツと言っていた。


「これは……ひょっとしたら…………いけるかも……」

「? 何がだ?」

「まだライバルが少ないし……やってみる価値はあるかな……」

「おーい?」

「うん。今ならいけるはず……」


 そういって顔を上げ、俺達を真剣な表情で話す。


「ねぇ二人とも。ひと稼ぎしてみない?」

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