表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不人気と言われようともデバッファーを極める ~攻撃スキルが無くても戦えます~  作者: 功刀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/99

ビッグホーン狩り

 今いるルンベルクという町には四つの出入口がある。町の出入口は東西南北の四つだ。

 それぞれ難易度が違うみたいだ。

 東西はそこまで強い敵は出ないらしく、北南はある程度慣れたプレイヤー向けとのこと。


 なぜこんなことを知っているかというと、北の門から出ようとした時に、NPCの門番が引き留めてきたからだ。そしてその門番から色々と話してくれたのだ。

 どうやら推奨レベルより低いプレイヤーが通る時に、アドバイスするように設定されているらしい。

 俺みたいな新規のプレイヤーにはありがたい仕様だ。


 そんなこんなで北の門からフィールドに出発し、目的のモンスターが居る場所へと目指す。

 ビッグホーンはある程度離れた森林地帯に生息しているらしい。なのでそこまで移動することにする。


 道中にはちらほらモンスターを見かけたが、基本的に無視することにした。

 今回は目当てのビッグホーンを集中に狩るつもりだ。


 十分ほど歩いただろうか。

 森林地帯に到着し、警戒しながら周囲のモンスターを探していく。

 そのまま歩き続けると……


「あっ! あれじゃない?」

「ん? 見つけたか?」

「うん。たぶん向こうにいるモンスターだと思う」


 サクラが指さす方向には、角のデカい鹿が居た。

 あいつがビッグホーンか。


「つーか角デカすぎじゃね?」

「す、すごい大きさだね……」


 2本の角は鹿の体格並みにデカく、本体よりも角の方が目立つ。

 あんなにデカいと逆に邪魔だと思うんだけどな。

 ま、ゲームにそんなツッコミを入れるのは野暮ってもんか。


「よし。んじゃ頼むぞ。サクラ」

「うん!」


 ビッグホーンに近づいていく。すると向こうも俺たちに気が付いたようだ。

 こっちを見るや否や、真っすぐ俺たちに向かって走ってきた。


「やっぱりアクティブモンスターか。サクラ構えろ!」

「あわわ……すごい速さで突進してくるよぉ」


 このまま俺たちをはじき飛ばす気か。

 どんどんと距離を縮めてくる。


 ビッグホーンの狙いは……サクラか!


「サクラ! 避けろ!」

「きゃっ」


 サクラが間一髪で突進を避け、勢いよく通り抜けていった。

 だがビッグホーンはUターンをし、勢いが衰えることなく再び俺たち向かってきた。


「くそっ。早い! 闘牛みてーなやつだな!」

「ど、どうしよう……」


 ああやって角を出して突進するのがやつのパターンか。

 だったら……


 ギリギリまで引き寄せて……


 ……今だ!


「《アースバインド》!!」


 スキルを発動した瞬間、ビッグホーンはピタリと立ち止まった。


「す、すごーい! あんなスピードで動いてたのに止まっちゃった……」

「あぶねぇ。もう少し遅かったら引き殺されたな」

「で、でも。これで安心だよね?」

「まだだ。移動が出来なくなっただけだ。まだやつは生きてる」


 ビッグホーンはその場から移動は出来なくなったが、威嚇するように頭を動かしている。


「あの状態でも攻撃はしてくる。だから注意しろ」

「わ、分かった。じゃ、じゃあ……私が戦うね!」

「頼んだぞ」


 剣を構え、ビッグホーンに近づいていくサクラ。

 距離を詰めるとジリジリと動き、真正面から攻撃していった。


「やあっ!!」


 だが角で剣が弾かれてしまう。


「あう……」

「落ち着いて。相手はそれ以上動けないんだし。見極めて攻撃すればダメージを与えられるはずだ」

「も、もう一回!」


 再び剣を振り下ろすが、やはり角で防がれてしまう。

 つーかビッグホーンも器用だな。あんなバカデカい角を巧みに動かしてやがる。


「うー……どうしよう……」


 さすが北にいるモンスターなだけだけある。

 移動できないってのに、それでも簡単に倒させてくれない。

 せめて遠距離攻撃できる手段があればな……


「……ガイ君」

「どうした?」

「このモンスターって、動けないんだよね?」

「そのはずだけど」

「……いいこと思いついた!」


 そういって、ビッグホーンの背後に移動した。


「これなら角も使えないでしょー!」

「おー」


 ああそっか。

 角は前にしか対応できないんだから、後ろに回ればよかったのか。


「よーし! じゃあこれで――」


 剣を振り下ろす瞬間、ビッグホーンはくるりと方向転換をし、サクラが居る方向に正面を向いた。

 そして再び角で剣を防いでしまった。


「きゃんっ」

「んなっ!? そんなのありかよ!?」


 おいおい。どうなってるんだ。

 移動を封じても方向転換は出来るんかい。

 つーかこれバグなんじゃないか?


「うう……いい考えだと思ったのにぃ……」

「アイディアは良かったと思うぞ。けどこれは予想外だったな……」

「むー……。でも負けないもん!」


 おお。やる気十分だな。

 これぐらいじゃあへこたれないか。


 いや待てよ。

 サクラにヘイトが向かっている今ならチャンスじゃないのか?

 その隙に、俺が背後から攻撃すればいい。

 まぁ俺は攻撃力が最低クラスだから、大したダメージは出ないとは思うけど。それでもやらないよりマシなはず。


「サクラ。そのまま気を引いててくれ」

「え? あ、うん」


 武器をオールドロッドからナイフに変え、ビッグホーンの背後に移動する。

 そして近づき、ケツに切りかかる。


「くらえっ」


 が……


「ぐはっ!?」

「!? ガイ君!?」


 ビッグホーンの後ろ足で蹴飛ばされてしまった。


「いってぇ……」

「だ、大丈夫!?」

「今のでHP半分近く減ったぞ……」

「あ、後は私がやるから! ガイ君は離れてて!」

「す、すまん!」


 慣れないことはするもんじゃないな。

 やっぱりデバッファーとしての仕事に徹しよう。


「よーし。じゃあいくよー!」


 サクラは剣を握り、ビッグホーンに切りかかった。

 が、その度に剣が角で弾かれてしまう。

 サクラも負けじと剣を動かす。


「このっ……えいっ!」


 どうやら手数で勝負する気らしい。

 素早く何度も切りつけ、色々なやり方で攻め続けている。


 おっと。

 そろそろ《アースバインド》の効果が切れるからかけなおさないとな。

 あっ。そうだ。


「《ブラインド》!!。これはどうだ」


 これでビッグホーンは暗闇状態になり、視界を大幅に制限される。

 サクラもかなり戦いやすくなったはず。

 どうだ?


「この……このぉ!」


 ……あれ。

 あんまり変わんないな。

 特に変わった様子もなく、サクラの攻撃を受け続けている。

 接近されてると効果が薄いのかな。

 そう思っていると――


「やぁ!」


 ビッグホーンは動作が遅れ防ぎきれなかったため、サクラの攻撃をまともに受けてしまう。

 初めてダメージが入った。


「! や、やった!」

「おお。やるじゃないか」


 よかった。ちゃんと効果があったんだ。


「よぉーし。がんばるよー!」


 サクラはその後も攻撃を続け、徐々にダメージが入るようになってきた。

 どうやら相手の動きが読めてきたみたいだな。


「ここっ!」


 そして何度目かの攻撃が通ると……


「えいっ!…………あっ!」

「お?」


 ビッグホーンはその場で倒れ、光の粒子となって消えていった。

 残されたのはドロップ品のみ。


「や、やったぁ! 私でも勝てたよぉー!」

「おー。すげぇじゃん。いけるもんだな」

「えへへー」


 しかし意外に苦戦したな。

 もう少し楽にいけると思ってたんだけどな。


「マジで助かったよ。あんなモンスターは俺一人だと絶対倒せないし」

「わ、私こそ助かってるよー! あんなの私一人じゃ絶対無理だし」

「そ、そうか?」

「うん。ガイ君が居てくれたからこそ、倒せたんだよ。だからね。本当にありがとうね」

「お、おう」


 なんというか、こう……面と向かって言われると気恥ずかしいな。


「にしても……もやけに強かったよな。どう考えても適正レベル10じゃないだろうに」


 思わず話題をそらしてしまう。


「そ、そうなの? 私はまだレベル低いからよく分かんないや」

「少なくともソロで戦うようなモンスターじゃない」


 恐らくパーティを前提に倒すことを想定しているんだと思う。

 最初に盾役が攻撃を引きつけて、他のメンバーがダメージを与えて倒す……というのが本当のやり方なんだろうな。


 けどあの猛突進を受けきれる程の実力が必要になる。移動はできなくても、攻撃を食らえば半分近く減らされるからな。

 つまり、突進中はその何倍のもダメージがあると考えられる。

 それをレベル10でなんとかなるとは思えない。


「とりあえずやっと角一個目か。これをあと四つ集めないとな」

「そうだねー。さっきのでちょっと自信ついてきたかも」

「へぇ。結構やる気なんだね」

「今はガイ君がいるもん。だから次もきっと上手くいくはずだよ」

「俺もフォローはするけど無理はするなよ」


 そんな会話しつつ、次の獲物を探しに歩きだした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
防御ダウンも毒も入れずにバインド入れて突っ立ってるの、今までと違いすぎていきなりどうしたんだ。
バインド時間がスキルのCTより長いの純粋にゲームの欠陥だろ、デバフ強すぎてウケるわ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ