産廃武器
さて。テレサには感謝しなくてはな。
「お蔭で色々と詳しくなったよ。ありがとな」
「いいっていいって。これくらいならいつでも教えてあげるしさ」
「とりあえず、今は金策かな」
「あ、ちょっと待って」
「え?」
テレサが突然メニュー画面をいじり始めた。
「んーと……たしか余り物の中に……あった!」
「ど、どうかしたのか?」
「ガイっちは武器買うお金無いんでしょ? ならあたしからいい物あげるよ」
「ええ? い、いいのか?」
「うん。どうせ売れない産廃武器だし。捨てる予定だったのよ。さっきのお礼だと思ってさ、受け取ってよ」
「そ、そこまで言うなら……」
「んじゃトレード申請するね」
テレサからのトレード申請を受託し、とある武器を入手した。
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オールドロッド を取得した!
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「お? 杖?」
「うん。ガイっちには丁度いいと思ってさ」
ほうほう。
とりあえず詳細見てみるか。
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【武器】オールドロッド
MATK:40
・MATK-50%
・ダメージ-20%
・MP+20%
・MND-10%
製作者:テレサ
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「な、なんじゃこりゃ!?」
「ね? 言ったでしょ? 産廃だって」
魔法攻撃力であるMATKが50%もマイナスされる上に、ダメージそのものも20%低下。
唯一のメリットがMPが増えることだが、ヒーラーが使おうにも回復力に影響するMNDもマイナスされる。
こんなの装備するぐらいなら、下手すりゃ素手のほうがマシだ。
なるほど。たしかにこれは産廃武器だ。
「な、なんでこんなの作ったんだ? 誰も使わないだろ?」
「別に作りたくて作ったわけじゃないのよ。アビリティ付けようとすると、よくこういう武器も出来ちゃうこともあるのよ」
「ど、どういうことだ?」
こんなの誰も欲しがらないし、作るだけ無駄じゃないのかな。
「えっとね。さっきアビリティのことは説明したよね?」
「うん」
「実はね、アビリティに付与される数値ってのはランダムなのよね……」
「ま、まじか……」
「だからね。狙っていいアビリティを付けるのが難しいのよ」
うわー。そういうことか。
数値がランダムで付くから何回も試行錯誤せざるを得ない。だからこういう武器が出来ちゃうこともあるのか。
だが強くなるためにはアビリティを厳選する必要がある。やり込むには果てしない努力が必要になるな。
生産って面倒なんだな。
俺は生産を目指さなくてよかった。
「な、なるほどな。大変なんだな……」
「まぁね。でもやってみると楽しいよ! 強い武器が作れた時はなんとも言えない快感なんだから!」
「そ、そうか……」
まぁ俺が目指すスタイルも、人によってはつまらないと思うだろうしな。
こういうのは本人が楽しけりゃそれでいいか。
「と、とりあえず武器ありがとな。使わせてもらうよ」
「気にしないで。こっちは在庫整理するついでだから。けどまさか一番役に立たなそうな武器に使い道があるとはね。あたしも予想外だったわ」
貰ったオールドロッドはアビリティ構成が酷いしな。
普通なら即捨てるような武器なんだろう。
けど俺は攻撃もしないし、回復もしない。だからどのデメリットも意味をなさない。
MPが増えるというメリットだけが生きてくる。
まさに俺にしか扱えない武器だ。
「それにしても、ガイっちは本当に変わってるよね~」
「そ、そうかな?」
「あ、そうだ。ねぇねぇ。あたしとフレ登録しない?」
「い、いいけど」
「よし決まりっ」
すぐにフレ登録が送られてきた。
これで二人目になるな。
「そんじゃ。あたしはそろそろ行くね。他にやりたいことあるし」
「ああ。色々と世話になったよ。サンキューな」
「いいっていいって。あたしも助けられたし。そんじゃまたねー」
「またな」
テレサが小走りで立ち去っていく……
――と思いきや、すぐに戻ってきた。
「大事なこと言い忘れてた!」
「ど、どうした?」
「ガイっちはまだGoFを始めたばかりなんだよね?」
「そ、そうだけど……」
「じゃあまだ知らないよね」
なんだなんだ。
いきなりどうしたんだ。
「何がだ?」
「んーとね。【皇帝】っていうギルドの連中には気を付けた方がいいよ!」
「【皇帝】? そんなギルドが存在するのか?」
「うん。βからあるギルドなんだけどね。正式始まってからもどんどん人が増えていってるらしいの」
【皇帝】……ねぇ。
何というか、意識高そうな人たちが集まりそうなネーミングセンスだな。
少なくとも俺は近づきたくないな。
「それがどうかしたのか?」
「【皇帝】は有名なPKギルドなのよ。あいつら嫌がらせばっかりしてくるんだから! ほんとムカつく連中だわ!」
「な、なるほど……」
名前からしてそんな奴らが多いイメージはしていたが、本当にPKギルドだとはな。
覚えておこう。
「だからね。もし【皇帝】の連中出会ったらすぐに逃げなさい。関わるとロクな目に遭わないわよ」
「わ、分かった。覚えておくよ」
「うん。言いたかったのはそれだけ。そんじゃーね!」
それだけ言うと、今度こそ立ち去って行った。




