表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推し似に迫られて困ってます!〜私、推しは遠くから見ていたい派なので!〜  作者: 媛乃 暁姫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/30

19


 青い布が手に入ったので、早速ナオの衣装を作ろうとしたが、今は他の衣装を作っている真っ最中だった。

 ナオの衣装は一旦諦めて、他の衣装の続きを作成する。

 最推しの衣装作りが待っていると思うと、針の進みも自然と早くなる。

「それが終わったら、葵衣とお揃いの服も作らないと」

 いや、お揃いの服の前に祭壇かな?

「本気でミシン欲しい⋯⋯」

 手縫いだと色々と限界がある。特に自分の服を作るのにーー。

「アドニアスに聞いてみようかしら?」

 自動ミシンはなくても、足踏みミシンならあるかも知れない。

 足踏みは使ったことないけれど、要は慣れだ。それが使えれば、大分楽になる。

「練習用の布には事欠かないしね」

 以前アドニアスに用意してもらった布が、大量に余っている。

 アンナはテーブルの上に置いてあるベルを軽く振った。

 チリン⋯⋯と涼やかな音が出るそれは、以前なら余り使われなかった物だ。

 使うと解雇したあのふてぶてしい侍女が来たため、封印していたのだ。

 ベルの音を聞いたのか、すぐにノックの音がした。

「お呼びでしょうか、お嬢様」

 ダラけきった侍女を粛清したせいか、最近他の侍女からも若干嫌がられているアンナ。その弊害か、アンナの所に来るのも戦々恐々としている。

「アドニアスを呼んでくれない?」

「かしこまりました」

 ーー馬鹿なことしなきゃクビになんてしないわよ、失礼ね。

 言いたいことは多々あれど、言われた通りに動くのなら問題ない。大体、家令がしっかりしないのが悪いのだ。

 さり気なくアドニアスのせいにして、アンナは手元の作業に戻る。

 暫くすると、ドアを叩く音で手を止めた。

「入ってちょうだい」

 扉を開けて入って来たアドニアスは、入り口で大仰に頭を下げた。

「お呼びでしょうか?お嬢様」

「アドニアスに聞きたいことがあって」

「聞きたいことですか?」

「えぇ、うちにミシンはあって?」

「⋯⋯ミシンですか?」

 戸惑いながら思案するアドニアスに、アンナはミシンという言葉がないのだと知る。

「布を自動で縫う機械よ」

「あぁ、縫い機ですね。一応ございます」

 一応?と首を傾げるアンナに、アドニアスは苦く笑った。

「どなたもお使いにならないので、倉庫にしまってあるのです」

 成る程。と、アンナは頷く。

 家にいない女主人、仕事もしない侍女長が揃い踏みとなれば、使う者もいないだろう。

「それ、ここに置いて欲しいの」

「お嬢様のお部屋にですか?」

「えぇ、誰も使わないのなら、私が使うわ。未だ使えるようなら、調整して運んでちょうだい」

「かしこまりました」

 少し前から、アンナが針仕事をしていることを知っているアドニアスは、納得したように頭を下げて出て行った。

 一方アンナは脳内で『きゃっほい!』と狂喜乱舞していた。

 ミシンがあれば、早く綺麗に仕上がるし、作れる物の幅が広がる。

 あれもこれも作りたくて仕方ない!

 文明の利器様々だ。

「早く届かないかな〜♪」

 ウキウキしながら、ミシンが届くのを今か今かと待っていた。


 ーーそんな時もありました。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ