表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推し似に迫られて困ってます!〜私、推しは遠くから見ていたい派なので!〜  作者: 媛乃 暁姫


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/30

18



 青い布を大量入荷したと連絡があったのは、葵衣の服も作り終え、推し人形に取り掛かってる時だった。

 生地屋が直接出向いてくれるらしく、アンナはお茶をしながら部屋でそれを待っていた。

 前世で作った祭壇は、百円ショップで買えるラックや段ボールを使ったが、この世界にはないので、木製のひな壇を作るしかない。

 少し広めの踏み台として作ろうかな?

 普通の令嬢はそんなことしない。などと、アンナの頭にはない。

 専属侍女がいないのをいいことに、周囲の目も気にせずに、かなり自由気ままに動いているのだ。

「団扇、作れないかなぁ⋯⋯?」

 プラスチックがないので、木製で作るしかないのだろうが、確か昔の団扇は竹で作られていた。

 柔軟性を生かした竹の団扇を、温泉旅館で見た記憶はあるのだが、どうなっていたのか全く覚えていない。

「竹⋯⋯あるのかしら?」

 団扇はないが扇子はある。

 貴族女性の必須アイテムではあるが、未だ見たことがない。

 アンナ自身がまだ必要ではない為に、持っていないのだ。

「一度こちらの扇子も見てみないと、分からないな〜」

 扇子と団扇では大分違うが、骨組みが竹を使っているなら団扇も作れそうだ。

 ただ、アンナは団扇の骨組みの作り方を知らないので、そこは細工師に是非頑張ってもらいたい。

 ほぼ職人へと丸投げなのだが、そんなことを考えていると、ノックの音がして顔をドアへと向ける。

「どうぞ」

「失礼します。お嬢様、生地屋が参りました」

「お通ししてちょうだい」

 侍女が案内して来たのは三人の男性。

 内一人は以前に生地屋で見た店長だ。

「フランメイル辺境伯令嬢様。本日は当店をご利用下さり、誠にありがとうございます」

 恭しく頭を下げる生地屋に、アンナは鷹揚に告げる。

「頭を上げてちょうだい。今日はわざわざ来てもらって申し訳なかったわね」

「いえいえ、呼ばれましたら駆けつけるのも、私共の仕事ですから」

 揉み手しそうな顔で挨拶する生地屋を促し、持ち込まれた布を見せるようにお願いする。

「ご注文通り、青を基本として持って参りました」

 店長より若い男性が布を広げ、子供のような歳の子が巻かれた布を渡して行く。

 広げられた布を見て、アンナは思案する。

 前世の祭壇は様々な青でグラデーションを作った。今回はどうしようか?

「柄物は必要ないわ。単色だけのが欲しいの」

 そう言うと、柄物は下げられ単色だけが残される。それでも10種類くらいある。

「そうそう、これこれ矢車菊のようなコーンフラワーブルー、サファイアのようなブルー」

 ネイビーでもマリンでもアクアでもない深く濃い青。

 店長が苦笑いをする。

「お嬢様の仰るお色を探すのに、大変苦労致しました」

 広げられた青い布は全て購入することにする。

 特にコーンフラワーブルーとサファイアブルーは、かなり多めに買うことにした。

「また頼むかもしれないから、その時もよろしくね」

 推しカラーで一人で着れる自分の服を作りたい。

 葵衣と色違いのお揃いなんか作ったら、きっと楽しいだろう。

 様々なデザインを頭の中に描き、アンナは嬉しそうに笑った。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ