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神逆のクラウン~運命を狂わせた神をぶっ殺す!~  作者: 夜月紅輝
第5章 道化師は憎む

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第115話 亡者の楽園 クレイロータス#2

数人対多数を定期的にやりたくなる民


読んで下さりありがとうございます(≧∇≦)

 クラウン達は次の一本道を歩いて行く。すると、そこもかなり暗く少し離れれば見失いそうなほどであった。


 とはいえ、先ほどと違って真っ暗というわけではない。一応自身の足先は僅かに見えるような感じだ。


 だが、未だしっかりとした魔物一体にすら出会っていない。気配すらも感じない。そのことにクラウン達に若干の不安要素を生み出している。


 とはいえ、ここは神殿であることには変わりない。なので、警戒心を維持しつつ、周囲に注意しながら進んでいく。


 すると、目の前にほんのりと淡い光を放つ何かが見えて来た。その何かは地面に埋まっているようで、実体がわからない。


 クラウン達はそれに警戒心を高めつつ、近づいていく。そして、その光の何かを見ると正体は双葉の植物であった。


 クラウンはそれを何か変化がないか見ていると隣からリリスが声をかけた。


「ねえ、この植物のそばに石碑があるわ。そして、それに書いてある内容を読むと『輝きし植物を埋めよ。そして、成長しきるまで耐えろ。さすれば、亡者は気を落ち着かせ、道は開かれん』って」


「『埋めよ』ってもう既に埋まってるよな。ってことは、これを別の場所に持って行って埋めるってことでいいんだよな?」


「おそらく、それで間違いないわね。そして、成長しきるって.....これだけ大きなものをかしら? 私もエルフの森に入ったのは初めてだから、確かな情報がないのよね」


 エキドナがそう言いながら見ている植物は見えている範囲で想像し得る限り、サッカーボールほどの大きさの球根をしていると考えられる。


 なぜなら、二つの葉がかなりの大きさをしているからだ。そして、クラウンがその植物を右手で引っこ抜いてみる。


すると、その植物の種はさながらランプのようにほのかに周囲を照らしていく。


 とはいえ、その距離は半径1メートルとなく、足元をまでを照らしていくぐらいだ。


「「「「「「!」」」」」」


 その瞬間、クラウン達全員は感じた。この暗い道に数えきれないほどの敵がいることに。先ほどまで感じることのなかった気配が、全方位から感じる。


「ウォン」


「わかっている。この場からすぐに離れた方が良いことぐらいな」


 クラウンはロキの顎下を撫でながら、意見に同意すると「走れ」と告げて走り始めた。すると、動き出したクラウン達に向かって気配が一斉に集まってくる。


 そして、クラウン達に近づいて来る気配を見て、クラウン達は思わず驚いた。それは魔物であったが、その全てが半透明となっていた。


 すると、そのうちの一匹オオカミの魔物がクラウンめがけて飛んでくる。それに対し、クラウンは種を左手に持ち帰ると一気に抜刀した。


 だが、その抜いた刀はオオカミを通りぬるように動いていき、対してオオカミは構わず襲ってくる。そして、そのオオカミは――――――種へと噛みついた。


 そのことにクラウンは疑問に思いながらも、今度は刀に魔力を纏わせて切り払う。すると、オオカミは切断され、霧散していった。


 クラウンは注意深く観察すると全ての魔物は自分達に敵意を向けているわけではなく......あれは捕食者の目だ。


 そして、捕食対象は種である可能性が高い。現在も向かって来る魔物は全てが種を見ながら向かっている。


 これまでの神殿の内容的に考えるともっとも近いのは獣王国のあのクソ犬の内容に近いだろうか。つまりは、食われればやり直し。


「全員、この植物に向かって来る魔物を倒せ! ただし、相手は魔力しか有効ではない。今後のことも考えて使用しろ」


 そして、クラウン達は周囲に魔物達を切り払ったり、蹴り飛ばしたり、殴り飛ばしたり、切り裂いていく。


 だが、その魔物達は前の魔物を切ったそばから詰め寄ってくる。それも全方位から来るので、進みが非常に遅い。


 そのことにクラウンは思わず舌打ちをしてしまう。とはいえ、そんな生産性のない行動に思考を割いている暇はない。


 クラウンは目の前の魔物に向かって複数の斬撃を飛ばした。すると、その斬撃は真っ直ぐ道を作るように切り裂いていく。


 その道をクラウン達は突き進んでいく。しかし、波が寄せてくくるようにその道を魔物達が覆いつくしていく。


 すると、全然進めなくてイライラしてきたクラウンは左手に持った種を前方に向かって思いっきり投げた。そして、全員に告げる。


「リリスは重力で押し潰せ。そして、カムイは炎で焼き尽くし、ロキとベルは薙ぎ払え。エキドナは俺と同じ隙をついて侵入してきた魔物を消せ」


 クラウンの指示に全員が頷くとリリスは植物の周囲に重力を発生させ、魔物を押し潰していく。そして、カムイは寄ってくる魔物を炎で消滅させていく。


 またロキとベルは遠方の方まで魔物を切り裂く斬撃を放つ。それから、クラウンとエキドナは天井の方から這いずって奇襲してきた魔物を切ったり、殴り飛ばしていく。


 それによって出来た空間をクラウン達は駆け抜けていく。もちろん、投げた種を手元に戻しながら。それから、進んでいくと前方に光が漏れ出ている出口が見えて来た。


そして、その出口を通り抜けていくと広めの空間に出た。その空間は地面が土になっていて、周囲の壁を蔦が覆っているような感じだ。


 それから、その地面の中央には石で円形状に囲われた部分が見られた。もしかしすると、そこに種を埋めるのかもしれない。


 そう考えたクラウンはすぐさまその場所に向かい種を埋めていく。すると、その種はすぐさまその芽を大きくしていき、縦に伸びていく。


「確か、『成長しきるまで耐えよ』だったよな? あの魔物の反応を見る限りまだこの試練は終わってないようだし」


「そう考えるのが妥当じゃないかしら? それにしても、面倒な耐久ね。こっちの魔力だって無限じゃないっていうのに」


「まあ、深く考えるのはなしにしようぜ。やることは変わらないんだしな」


「面倒な相手は切り刻めばいいです。そこは得意分野です」


「ふふっ、もうすっかり旦那様色に染め上げられてしまっているようね。私も早く染め上げられたいわ」


「ウォンウォン(この場でそれを言える胆力!)」


 クラウン達はその成長し続けている種を囲うように背後にするように立つと正面から向かって来る魔物を相手にしていく。


 クラウンは刀をしまうとヨーヨーを両手に持ってそれに魔力を纏わせながら正面に飛ばしていく。そして、そのヨーヨーを左右に広げていくように伸ばしていく。


 さらに、その回転する駒の部分からギザギザに尖った矢を出現させると魔物を切り払っていき、同時にまとめて押していく。


 それによって山のように積み重なった魔物に向けて、リリスが超重力によって押し潰す。また、反対側にいるカムイとベルは炎の斬撃で薙ぎ払っていく。


 そして、残りにエキドナとロキは、エキドナは竜化してから火炎のブレスを吐いていき、ロキは<雷砲>を放っていく。


 それによって、周囲にいた魔物の大半は消滅した。だが数秒後、霧散した魔力が集まっていき、同じ魔物を作り上げる。


「そこ、気づかないと思ったのかしら? 私を欺けるなんて思わないでよ? あんた達は私に蹂躙される未来しか待っていないのよ」


 リリスはやや顔を上気させる。すると、ノールックでそう言いながら、腕を頭の上に上げた。そして、天井に向かって重力を発生させる。


 それから、その重力で天井に這いつくばっていたトカゲの魔物やスライムを引きはがすと地面に叩きつけた。


 一体のスライムにはボールを蹴飛ばすように思いっきり蹴りを入れる。その瞬間、そのスライムは高速で飛んでいき、周囲の魔物を吹き飛ばしながら壁に叩きつけられた。


「ははは、やるじゃね―――――――!」


 リリスの行動を尻目で伺っていたカムイは誉め言葉でも送ろうとした時、不意に足首を掴まれるような感覚に陥った。


 カムイは咄嗟に足元を見てみると人間の手のようなものが自身の足首を掴んでいた。しかも、その手は地面から生えている。


 カムイはすぐさま手を振り払うと咄嗟に距離を取る。すると、カムイを追うようにその手の主―――――――半透明のエルフが襲いかかってきた。


「亡者の楽園......なるほどね。さながら、俺達は楽園を荒らしに来た敵ってことか?」


「何を言って.....それは敵です?」


「ああ、敵だ」


 カムイはすぐさま全員に足元から人型の魔物が出てくることを伝えていく。そして、そのエルフの魔物に「わりぃな」と言いながら、切り伏せていく。


 それからどれぐらい経っただろうか。あまり長い時間は経っていないが、さすがに魔力を使用量がイエローゾーンに入ってきたのかクラウン達は額に若干の汗をかいていく。


 すると、エキドナが全員に伝えた。


「今、後ろの様子を見たのだけれど、おそらくもう少しのはずよ。さっきの植物が一つの木になって、茂り始めているから」


「そこからが長かったら困るです」


「ウォン」


「安心しろ。俺達にもう負けは作らせない」


 クラウンはそう言うと何かを思い立ったかのようにヨーヨーを手元に戻した。そして、それをポーチをへとしまうとその木へと向かい合う。


 そのことを怪訝に思ったリリスはクラウンへと声をかけた。


「どうしたの? 何かわかったの?」


「ああ、完全ではないが、試してみる価値のあることだ」


「それって?」


「俺は最初の植物が成長し初めて、ここまでの大きさになるまでに逐一気配を感じ取っていた。すると、その木はお前らが強力な攻撃、つまり膨大な魔力を消費する時に気配が大きく変動した」


「ってことは、私達の使った魔力がこの木の成長を促しているということかしら?」


「おそらくな」


「ふふっ、だとすると、この魔物達に魔力しか当たり判定がないのがなんとなく納得がいくわね」


「それを踏まえて考えると主様はもしかして直接魔力を与えようとしているです?」


「そんなところだ」


「危険かもしれねぇぞ。魔力を糧に成長しているのなら、魔力を流した瞬間、自分の魔力が持っていかれるかもしれねぇ」


「危険は今更のことだ。そんなものに縛られるのはもっと大きな敵に対してだ。こんな神殿ごときに臆する方がおかしい」


「ウォン(クラウンらしいや)」


「かもな」


 クラウンはその木へと近づいていくと手を触れさせる。そして、その木に魔力を注入した。


 すると、クラウンの魔力がグングンと吸われていき、一方で木はどんどんとその枝を周囲へと空間を覆い隠すように広がっていく。


 クラウンはその想像以上の吸われ具合に思わず膝をつく。だが、手は離さない。とはいえ、倦怠感は増していくので、苦しさも増していく。思わず呼吸も荒くなる。


 するとやがて、その枝は空間全体まで広がり、その枝になっていた緑色の葉は鮮やかなピンク色に変わっていく。


 そして、その木は――――――――盛大な桜となった。さらに、演出するかのように桜の花びらを散らしていく。


 その瞬間、魔物達の動きは止まり、こぞって踊りだす。楽しそうに、先ほどの威圧感はどこ吹く風。そのことにリリス達は思わずキョトンとした顔をした。


 とはいえ、これはもはや試練にクリアしたといえるだろう。そう思ったリリスはクラウンへと振り向いた。


 その瞬間、クラウンは崩れ落ちるように地面に横になった。

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