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星に願いを

 ここからは全力も全力、フルパワーで全開で、後先何も考えず力を振り絞ってサナを救う。だってミオはサナの相棒なのだから。

 勝ち目のない戦いなどいつものことだった。圧倒的物量を前に絶望したことだってある。でも生き残ってきたんだ。

 だからたった一人に負けるなんてありえない。ましてやそれがずっといっしょにいて、その戦い方も熟知している相手ならなおのことだ。

「サナぁああああああああああああああああああああああああああッ」

 操られていようとサナの癖だけはなくせない。

 大鎌と鎖の猛攻を掻い潜り、逆に鎖は足場として利用して結晶に刃を突き立てる。

 結晶に切先が当たりはしたが、傷をつけることは叶わず自由落下する。

 ――まだ足りない。

 サナを開放するにはもっと力がいる。もっと、もっと強い力が必要だ。

 再びサナの元に行くため足に力を入れたとき、ガクリと膝から崩れ落ちる。

「どうして」

 もう限界だった。

 元々ダメージを蓄積していた上に、使い慣れない魔法を湯水のように行使したのだ。本人の自覚なしに消耗が激しかった。

「まだ……まだ終われないの」

 鎖がミオの照準を合わせて一斉に襲い掛かる。

『こんなサービス、めったにしないから』

 ミオと溶け合ったはずの『三〇』がなぜか再びミオの目の前に現れた。

「あなたは、だれ?」

 でも見た目は『三〇』であるというのに、なぜか別人のように感じる。しかし感覚的にそう感じるだけで、その違和感を説明できる気がしない。

『わたしの力を貸してあげる』

 ミオの額に『三〇』に似た誰かはキスをした。ミオは訳が分からず目をパチクリさせると誰か消えていた。

 しかしなぜか体の奥底に力を感じる。もうすべてを使い切ったと思っていたのに、サナを助けられると無責任に思えるほどに強力な力がみなぎっている。

 再びミオは立ち上がる。地面を踏みしめ、胸の奥から沸き上がってくる不思議な言葉を口にする。

「我は求める、悪しき繋がりを断ち、真なる自由を勝ち取るための刃を《絶対切断の一撃アブソリュートエンド》」

 足元に巨大な、それこそ小さめの村なら全体が埋まってしまいそうなほど巨大な、剣のシンボルがあしらわれた魔法陣が広がる。

 これはミオは知らないが、極大魔法と呼ばれる魔法少女の中でも一部の者にしか使えない最強の魔法。それも世界そのものに影響を与えるというぶっ飛んだ効力を持っている。ゆえに専門家の間では世界規模改変魔法とも呼ばれている。

 ミオの極大魔法は断ち切る力。本来なら斬れないものを断ち切り、一度斬られたものは二度と元に戻ることはなくなる。

「これで……いっけぇぇええええええええええええ」

 極大魔法とは別に《空間斬り》を発動し、サナの元へと飛ぶ。

 一閃――刃はサナを透過し、深く根付いていた結晶との結合を断ち切った。

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