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若将軍は旅がしたい!  作者: 高嶺の悪魔
第六章 影の呼び声

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馬蹄砦へ 4

「で? 話は決まったの?」


 ノーバスター卿の執務室を後にして、ラキアたちを待たせていた部屋に入るなりレティからそう訊かれた。


「ん、まあ、一応」


 言葉を濁しつつ、総大将に据えられたことを説明する。

 レティはそれを聞いて、ふぅんと鼻を鳴らしていた。


「私たちはどうすればいいの?」


 そう訊いてきたのはラキアだ。戦になると聞いて、流石に不安なようだった。


「避難民を王城まで運ぶ馬車がある。数は少ないが、俺が頼めば二人くらいは乗せてもらえるはずだ。護衛もつく。それで……」


 ラキアとレティは避難しろ、と続けようとした俺をレティが遮った。


「ちょっと待ちなさい。アンタが残るなら、私は何処にもいかないわよ」


「駄目だ。危険すぎる」


 街や村を襲ってくるオークとはわけが違う。

 今度の敵はまともな武具で武装している軍隊だ。

 そう首を振るが、レティは聞く耳もなかった。


「じゃあ、なんでアンタは残るのよ」


「なんでって……」


 そんなことは聞かれるまでもない。


「だって、アンタはこの国の騎士でもないし。正直、命をかけて戦う理由があるとは思えないんだけど。一族の使命だから、とでもいうわけ?」


「そんなんじゃない」


 思わず失笑を零しながら、俺はレティを否定した。

 そう、そんな御大層なもんじゃない。理由はもっと単純で、小さなことだ。

 でも、本当のことは言えない。


「ただ、目の前で困っている人がいたら助けるのは当然だろう」


 だから、そんな月並みな言葉で誤魔化した。

 レティはしばらく俺を睨んでいたが、とりあえずは納得してくれたようだ。


「まあいいわ。私は一族の使命だから残るけど」


 小さく息を零してから、彼女は所在なさげに立っているラキアを見た。


「でも。ラキアだけ逃がすってのはどうかしらね。話を聞く限り、国中で化け物どもが暴れまわってるんでしょ? 王城までの道のりが絶対に安全って言えるの?」


「う」


 そう言われると、困る。

 王城の方が安全なのは確かだ。あそこが落ちたら、もうこの国に安全な場所はないということになってしまう。

 だが、そこまでの道のりは。いくら護衛が着くとはいえ、敵の奇襲が無いとも限らない。

 砦の戦力を確保するために護衛の数も最小限だ。その理由から、砦への残留を望む避難民も多い。


「いや、しかし……」


「ああもう! だったら、本人に決めてもらいましょ」


 俺が返答に窮していると、レティが痺れを切らしたようにそう言った。


「え、わ、私は……」


 俺とレティ、二人の視線にラキアは戸惑ったように顔をきょろきょろとさせる。

 しかし、やがて意を決したように彼女は俺を見た。


「私は、残りたい」


 不安そうな声で、それでも彼女はそう言った。

 そこへちょうどノックの音が響いて、砦の守備兵が顔を出した。


「将軍、申し訳ありませんが、指揮官殿がお呼びです」


「……分かった」


 それはどちらに対する返答だったのか。

 自分でも分からないまま、俺は兵について部屋を出て行った。


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