表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
若将軍は旅がしたい!  作者: 高嶺の悪魔
第七章 馬蹄砦の合戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/121

馬蹄砦の合戦 8

 防壁を突破された砦は混乱の極致ともいえる状況だった。

 続々と雪崩れ込む化け物の群れに、懸命に抵抗している兵たちへ退却を伝えながら、俺たち遊撃隊は砦中を駆け回った。散り散りになった兵や、逃げ遅れて孤立している者たちをまとめ上げながら、本状を目指す。

 時折、正門の方角から城壁の打ち砕かれる音や金属のぶつかり合う凄まじい音が聞こえてくる。どうやら、まだレイブンは無事なようだ。あの化け物相手に一歩も引かずに斬り結び、足止めをしているのだから、大殊勲といっていい。

 欲をいえば、もうちょっと周りの被害にも気をつかってほしいものだが。

 吹っ飛んできた城壁の一部を躱しながら、そんなことを思う。

 まあ、相手がアレなので今回は大目に見ておこう。


 本城の門まで辿り着くと、そこは危うく突破される寸前だった。

 ノーバスター卿が自ら剣を手に陣頭指揮を執って、騎士隊が本城へと押し入ろうとするオークの群れを必死に押し返そうとしているが敵の数が多すぎる。

 俺は引き連れてきた兵たちにちらりと目で合図をしてから、我先にと開きかけた門扉をこじ開けて突入しようとしているオークの群れに剣先を向けた。


「突撃!!」


 叫びながら、オークの群れに横合いから斬り込む。兵たちは蛮声を上げて俺に続いた。


「将軍!」


 どこかほっとしたような声でノーバスター卿が俺を呼んだ。


「門を閉めるまで時間を稼ぐ! どれくらい必要だ?」


 くるりと手の中で回した剣でオークの首を刎ねながら、大声で尋ねる。


「出来るだけ長く!」


 ノーバスター卿は襲い掛かってきたオークを袈裟に切り捨てながら答えた。

 了解と応じて、俺はダイツを呼んだ。


「聞いてたな、ダイツ! 俺にも周りにも気にせず、好きに暴れて良いぞ!」


 そういうと、ダイツは大きなバトルハンマーを抱え上げながら、応っと威勢の良い返事をした。連れてきた兵たちは先に城内へ入らせる。周りに味方がいると、返ってダイツの邪魔になるからだ。

 ノーバスター卿に見込まれているだけあって、遊撃隊に選んだ兵の中でもダイツの実力は抜きんでている。小さな子供ほどの大きさがある柄頭のついたバトルハンマーを軽々と振り回す腕力と膂力は目を瞠るものがあった。

 こいつ、もしかしてドワーフの血でも入っているんじゃないだろうか。

 そんなことを思いながら、俺はダイツから少し離れた位置で剣を構える。

 ここに来るまでの数戦で、すっかり互いの呼吸の計りかたは分かっていた。

 ダイツがバトルハンマーを振るい、オークを数匹まとめて吹き飛ばす。さしものオークもダイツの一撃をまともに食らえば立ち上がれない。だが、バトルハンマーは取り回しが難しく、攻撃後の隙が大きい。

 そこを俺が埋める。

 ダイツがハンマーを振り回す邪魔にならないように動き回りながら、突出してきた敵を切り捨てる。さらにそこへ弓矢による援護まで加わった。

 通常、こんな乱戦をしている味方の援護に弓矢など使わない。誤射する危険が大きすぎるからだ。

 だが、この弦音。そしてこの正確無比な射撃の腕。好き勝手に動いている俺たちの、ちょうど死角になる位置の敵を的確に射抜いてくれる。

 誰からの援護なのかは言うまでもない。

 瞬く間に、あれほど群がっていたオークどもが散っていった。

 俺たちの戦いぶりを見て歓声を上げる兵たちに、ノーバスター卿が門の補強を急げと怒鳴っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ