第六百六話 空と世界②
「剣技 《断空》」
と、空が放った渾身の技。
それは骸骨竜へは当たらず、空を切る。
その直後。
空を襲ったのは凄まじい衝撃。
腹部に奔る凄まじい痛み。
骸骨竜の尻尾だ。
それが、隙だらけの空の腹部を貫通したのだ。
空はその勢いで、背後の瓦礫の山へと吹き飛ばされてしまう。
(痛っ……ダメだ、身体が全く動かない。さっきの怪人の一撃――咄嗟に尻尾を殴って、胸への攻撃は避けたけど、致命傷っていうのは変わらなかったな)
体中の力が入らない。
動こうとすると、腹部が猛烈な痛みを訴えてくる。
悟ってしまう――これ以上の戦闘は不可能だ。
(このままだと僕の負け……か)
と、考えたその時。
聞こえてくるのは、地響き。
見れば、そこにいるのは骸骨竜だ。
奴は先ほどまでとは異なり、ゆっくりと近づいてきている。
きっと、勝利を確信し余裕を見せているに違いない。
そして、そんな骸骨竜はやたらと時間をかけ、ようやく空の前へとやって来る。
空が視線を上げると、映るのは――骸骨竜が鋭い爪を掲げる姿。
次の瞬間にでも、奴は空へと爪を振り下ろすに違いない。
と、空がそんな事を考えた。
まさにその時。
「貴様が怪人ってやつか? 随分楽しそうだな、おい」
聞こえてくる声。
その直後、骸骨竜は突如真横へ吹っ飛んでいくのだった。




