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36・白狐の嫁入り

 今日は疲れたが、それでも良い一日だった。

 まさかプリムと両想いだったとは思わなかったが、それでも俺はプリムに決闘を挑み、かろうじて勝利を収めることができた。

 その後勢いでプロポーズまでしてしまったが、後悔は一切ない。元の世界に帰らないと決めた以上、ヘリオスオーブは俺の世界になったわけだし、この世界で生きるならこの世界の女と結婚することもあるだろう。


 まあヘリオスオーブに来てからわずか一週間で結婚することになるとは思わなかったが。


 ヘリオスオーブにも結婚式はあるが、立派な式を挙げるのは王族ぐらいだそうだ。貴族は着飾りこそするものの、知り合いを集めて簡単なパーティーを開いて結婚の報告をするに留まる。庶民となると結婚したことを互いの親に報告し、バシオン教の神殿で祈りを捧げればそれで夫婦になれる。

 ちなみにハンターは基本的に庶民よりらしいが、仲間内だけで宴会みたいなことをすることも珍しくないらしい。


 プリムはバリエンテの貴族出身だが、家は没落させられていることもあって扱いとしては庶民になる。

 だけど二人ともGランクハンターだから、知り合いを集めてのパーティーぐらいはしてもいいと思う。知り合いって言ってもエドにマリーナ、フィーナ、レックス団長とローズマリー副団長とミーナに騎士団に数人、プラダ村の三人にあとは領代にライナスのおっさんとカミナさん、それと各ギルドマスターぐらいだから、そんなに多いってわけでもないな。

 まあやるとしても、今の問題が解決してからになるだろうが。


 それにしても今日は疲れた。

 ラベルナさんとフィーナを連れて牧場に行ったと思ったら逃走を企むタイガーズ・ペインが現れてそれを捕縛して、終わったと思ったらノーブル・ソードがトレーダーズギルドを人質にして立て籠もっていた。それも制圧してフレデリカ侯爵の屋敷で報告を終えたと思ったらアプリコットさんが外出を希望するから護衛をすることになって、その足で希望していたヒーラーズギルドでヒーラー登録をしてもらい、そして本日のメインイベントでもあるプリムとの決闘をハンターズギルドで行ったわけだ。その後でハンター捕縛の依頼達成を報告して報酬を貰って、その足で神殿を訪れて祈りを捧げて正式に夫婦となり、その後でアプリコットさんの買い物に付き合ってからオネストをジェイドとフロライトに引き合わせて、気が付いたら夕方になってたぞ。


 そんなわけで俺達は魔銀亭に戻ってきてるんだが、今日はアプリコットさんもこっちに泊まるってことだから、追加料金はしっかりと支払っている。

 丁度飯も食い終わって、プリムとアプリコットさんは風呂に入ってるから、俺は一人でゆっくりと今日の出来事を思い出していたというわけだ。


 結婚したとはいえ急といえば急だったから今までの生活を変えるつもりはないし、プリムもハンターとして活動し始めたばかりだから、子供を作るとしても何年かは先になるだろうな。


 ヘリオスオーブでは子供の数はさほど多いわけではない。理由はわからないが、多くても二人ぐらいしか生まれないらしい。もちろん一人の女性が産む平均らしいから、奥さんの人数が多ければ子供の数も増えるんだが、それでも子供を授からない女性も珍しくはないって話だな。

 実際プリムのもう一人のお母さんには子供はいないし、フレデリカ侯爵のところもそうだって聞いた覚えがある。何か理由でもあんのかねぇ?


 だからといって何もしなければいつ子供ができるかわからないから、そこはそれ、夜の生活魔法とやらでしっかりと避妊ができるようになってるそうだ。快癒魔法ヒーラーズマジックにそんな魔法があるってアプリコットさんがドヤ顔で言ってたから、風呂に入るついでにプリムに使ってるはずだ。


 なんでそんな魔法があるかだが、ハンターや騎士、兵士のような戦闘職に就く女性も珍しくないこの世界じゃ、妊娠が発覚すると同時に退職、あるいは休職することが普通ということもあるかららしい。確かに何人もの騎士が同時に妊娠しましたとか言ってきたら、それだけで騎士団の仕事が滞ることは間違いないんだが、子供ができにくいってこともあるんだから必要ない気がするんだよな。

 って言ったら当然のように妊娠しやすくなる魔法もあるって言われたから、思わずひっくり返ったけどな!なんでもありかよこの世界、って叫んじまったよ。


 さらに俺と結婚したことで、プリムの名字が変わった。

 結婚すると基本的に名字がある方の家に入ることになるんだが、お互いに名字があると男側の名字が優先されることになっているようだ。まあその名字も、バシオン教の神殿で変更できるみたいなんだが。

 ちなみにプリムはハイドランシアの家名を残したかったみたいだから、こんな名前に決めている。


 プリムローズ・ハイドランシア・ミカミ

 17歳

 Lv.55

 獣族・翼族・ハイフォクシー

 ハンターズギルド:アミスター王国 フィール

 ハンターズランク:ゴールド(G)

 レイド:ウイング・クレスト

 白狐の翼族、元ハイドランシア公爵令嬢、極炎の翼を宿せし者、ヒポグリフの主


 まさかハイドランシアの家名をミドルネームにするとは思わなかったが、互いの合意があればこんなこともできるし、新たな名前を作り出してもいいそうだ。無茶苦茶だと思ったが、よく考えれば王家や貴族から名前を下賜されることもあるし、何よりPランク以上の人は名字を名乗れるようになるんだから、こういうシステムみたいなものがあるのは当然なのかもしれない。

 対外的にはプリムローズ・ミカミって名乗るつもりらしいが、俺的にはあんまり語呂がいいとは思わないのでちゃんとハイドランシアまで名乗ってもらいたいところだ。


 あとさりげなくレベルが上がっているが、どうやら俺との決闘で魔力を使いまくったことが原因みたいだ。俺もレベル60になってたから間違いないと思う。互いに魔力を研ぎ澄ませていたから、こういうこともあるだろうと納得するしかなかったな。


 そういや落ち着いたらエドもマリーナと結婚するみたいなこと言ってたから、合同披露宴にしてもいいかもしれない。エド側の知り合いと接点があるかどうかが問題だが、それはそれで構わないと思うしな。

 後でプリムにも聞いてみよう。


Side・プリム


「プリム、嬉しいのはわかるけど、お風呂のなかで尻尾を振るのはやめてちょうだい」

「あ、ごめんなさい。全然気が付かなかったわ」


 久しぶりに母様と一緒にお風呂に入ってるけど、今日は大和と夫婦になれた記念すべき日なんだから、大和と一緒に入りたかったわ。さすがに面と向かって母様には言えないけど、明日はミーナが大和に告白するから、ミーナに先を越されてしまうかもしれない。だから初夜はしっかりとするつもりよ。そのために母様にお願いして、コントレセプティングっていう避妊魔法をかけてもらったんだから。


「大和君と初夜を迎えるのはいいんだけど、大丈夫なの?大和君、娼館にも行ってないって聞いてるし、ヘリオスオーブに来てからは一度も女性を抱いてないだろうから少し心配よ?」


 確かにそうだ。フィールに来た日に、魔銀亭の受付嬢から娼館の場所を教えてもらってたみたいだけど、大和が娼館に行くことはなかったのよ。理由はわからないし聞くつもりもないんだけど、大和の世界じゃ20歳にならないと成人とは認められないそうだし、恋人もいないって聞いてるから、多分大和は女を抱いたことがないと思う。

 あたしも初めてだから少し怖いし、初めて同士は上手くいかないって聞いたことがあるから、一抹の不安がよぎってしまう。だからといって今から娼館に行けとも言えないし、何より行ってほしくはないわ。


「この場合、私が手ほどきをするしかないでしょうね」


 ……はい?ちょっと待って、母様。今なんて言ったの?


「だから私が、あなたと大和君の初夜が上手くいくように手ほどきをするって言ったのよ。問題ある?」


 あるに決まってるでしょう!いきなり何を言い出すのよ!初夜に母親同伴なんて、聞いたことないわよ!


「そうでもないわよ。貴族だと女性経験を積んでもらうために未亡人が初体験の相手になることは珍しくないし、場合によってはそのまま未婚の母になることだってあるのよ。特に若くして夫を亡くした当主の場合だと、どうしても跡継ぎを生まなければいけないんだから、そうせざるをえないことだってあるの」


 なかなかに衝撃の事実だわ。確かに言ってることはわかるし、それも止む無しっていう場合は珍しくないんでしょうけど、だけどちょっと待って。そもそも母様はそれに当てはまらないわよね?あたしっていう娘がいるんだから、未婚の母になる必要性は一切ないわよね?


「それはそうよ。だけど娘の初夜の危機となれば、話は別だわ。夜の生活が上手くいかなくて夫婦関係が悪くなるってこともあるの。それを防ぐためにも、貴族や裕福な人は未亡人に頼むし、そうでなくても娼館に行って女性に慣れておくことが一般的なのよ」


 衝撃が続くわね。つまり大和は女に慣れてないから、母様がその役目を担うと、つまりあたしの前で大和に抱かれるって、そう言いたいの?


「そうよ。さすがに娘の前でっていうのは恥ずかしいけど、私もプリムの初夜を見させてもらうからお相子でしょう?」


 意味がわからない!なんでそうなるのよ!?

 だけど母様の言ってることもわかるから、結局あたしは折れてしまった。先にあたしからっていうことを条件にして。

 母親と一緒の初夜って、なんかとんでもない経験になりそうだわ。


Side・アプリコット


 何とかプリムの説得に成功すると、私も自分にコントレセプティングをかけることにした。

 もちろんプリムに言ったことも嘘じゃないしよく行われていたことなんだけど、私としても義理の息子に興味があったから名乗りを上げさせてもらったの。


「マジですか……?」


 大和君も予想外だったみたいだけど、裸でお風呂から出てきた私達を見て観念したようよ。大和君がお風呂に入っている間に、私はプリムに男性の体について教えると同時に、女性の体についての教育をすることも忘れない。最初に大和君と結婚したのはプリムなんだから、この先大和君が別の奥さんを迎えた場合は、あなたが女性をリードする役目になるんだから、しっかり覚えておくのよ?


「いいのか、プリム?」

「せっかくの決心が鈍るから聞かないで。でもあたしも初めてなんだから、優しくしてよね?」

「お、おう……」


 二人とも初めてだし、最初は二人でっていうのがプリムの出した条件だから、私は大和君をリードしながら、ゆっくりとプリムの体に導いていくと、拙いながらも二人は一つになって、プリムは本当の意味で女になった。初めてだから痛みがあるだろうけど、コントレセプティングはそういった痛みも緩和してくれる作用があるのが便利よね。


 さて、次は私の番ね。たっぷりと私の体を使って、女の体についてしっかりと勉強してね、大和君?

 男の人を受け入れるのは随分と久しぶりだから羽目を外しちゃうかもしれないけど、今回だけなんだから少しは大目に見てね。


 その後私は、久しぶりに乱れてしまった。大和君の上で下で体を振り、プリムも互いに初めてとは思えないほど乱れていたから、初夜としてはこれ以上ないほど素晴らしいものになったと思うわ。

 それにしても、娘と一緒に抱いてもらうのって、思ってたより悪くないわね。たまにでいいから私も混ぜてもらおうかしら?

 プリムはとても幸せそうな顔をして寝ているから、朝起きたら聞いてみることにしましょう。

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